第164話 信也 と 竜太郎、焼き鳥屋 で 歓談 する

164話 信也 と 竜太郎、焼き鳥屋 で 歓談 する


 8月16日の 日曜日、午後3時。空は 青く晴れて、気温は36度にもなる。


 川口信也と 新井竜太郎は、渋谷の 道元坂(どうげんざか)交差点から

すぐ近くのビル2階の、焼き鳥屋 福の鳥 に 予約を入れて 待ち合わせた。


《 福の鳥 》は、竜太郎が 副社長の 外食産業 大手『 エタナール 』が 全国 展開をする

備長炭(びんちょうずみ)で 焼き上げる、おいしさも 評判の 焼き鳥屋だ。


 席数は41席ある。 完全禁煙で、長い厨房を囲む カウンターと

個室の おしゃれな 空間だ。


「 しんちゃん、おつかれさま、まずは 乾杯!」


「 竜さん、お疲れさまでした。乾杯!」


 カウンター席の 信也と竜太郎は、生ビールで 乾杯をした。


「 しんちゃんも 順調そうだよね。JK の彼女も できて。あっははは 」


「 竜さんも 彼女と 楽しくやっているんでしょう! あっははは 」


「 まあね、しんちゃん。世間が こんなで 仕事は きびしい 状況なんだから、

プライベートで、楽しく過ごして、英気を養(やしな)う しか ないよね。あっはは 」 


 新井 竜太郎は、1982年11月5日生まれ、37歳。身長178cm。

父親が 社長をしている 外食産業 大手のエタナールの 副社長だ。独身。


 川口信也は、1990年2月23日生まれ、30歳。身長175cm。

躍進している 外食産業 モリカワ の 本部の課長だ。

また ロックバンド、クラッシュビートの 作詞 作曲をする、ギターリスト、ヴォーカリスト。

また 信也をモデルにした主人公が活躍する、マンガ『クラッシュビート』や、

その 実写版 映画『クラッシュビート』の大ヒットで、信也の 人気も 上々だ。


「 その JK の彼女、森下 きな ちゃんだっけ? 」


「 ええ、マスコミ に 知れて 騒がれたくないので 絶対に秘密にしてるんです。あっはは 」


「 アンジャッシュ の 児島も 不倫騒動では 大変なことになってるからな!

しんちゃんも 用心したほいがいいよ。いい カモにされないように。あっははは 」


「 いい カモにされたのは、アンジャッシュの 渡部のほうですよ。

児島 は 元気な 顔してテレビに よく出てますよ。あっはは 」


「 あ、そーだけ。しかし、結婚さえしていなければ、不倫だとかいって、

非難も大騒ぎもなかったんだろうから、結婚は むずかしいよね、しんちゃん 」


「 まったくですよね。おれも、竜さんも、よっぽど、覚悟ができないと

結婚できませんよね! 」


「 おれも しんちゃんも ひとりの女性だけでは どうも 長続きできないんだからね 」


「でも たいがいの 男は みんな そんなもんじゃないですかね。

あとは ただ ひたすら ガマンするとかしているだけで。あっははは 。

詩人の 寺山 修司が『 青女論 』の中で、

『 文明社会の中で不道徳というのは、

たった1つ、他人を 不幸にすることだけです。

お互いが 楽しむ権利を禁じることは、

どんな神様にだってできることではないことに、確信をもって、

隠したてたり、罪悪感を持ったりするのは 止(や)めたほうがいいと思います。』

って書いてますよね。寺山さんも 自由や民主主義を愛した人だったですよね。」


「 寺山さんも、いい詩人で芸術家だったよね。

まあ、エッチも 避妊は しっかして、責任 持って 楽しむものだよ。

エッチよりも いいなんていう 最高の 快楽というのも 他には

ちょっと なかなか 無いんだから。あっははは。

そういえば、自由や 民主主義を守っていくて、今も言っている

民主の女神の 周 庭 ちゃんも とりあえず 釈放されて良かったよね!

でも パスポートを取り上げて、彼女の 自由を 奪うのは、どうかと思うけどね。

朝の『 サンデー・ジャポン 』見てたら 周 庭 (しゅう てい )ちゃん 特集してた。

彼女は 小学生のころから 日本のアニメやアイドルなど

サブカル文化が好きだったり。独学で日本語を覚(おぼ)えたり。

タレントの 佐藤健(さとうたける)が 1番 好きだったり。

そんな 普通の感覚の 普通の 心の 優しい 女の子だよね。

それを、国家 転覆の罪とか言って、何か おかしいよね。あっははは。

しんちゃんは、JKの きなちゃんとは、どんなきっかけで、交際が始まったの?」


「 偶然、LINEに まぎれこんで来たんですよ。よくありますよね、それって 」


「 ある ある 」


「そしたら、おれが クラッシュビートの川口信也だとわかって、

好きなポーズとかあったら、わたしの写真 送るからって、言ってきて。

写真や 動画を いっぱい 送ってくれたんです。顔がわからないものばかりですけど。

あっははは。でも、どの写真も動画も、いやらしさとかもなくって、

芸術作品のように 美しくって。ああ、この女の子は

心も 美しくって きれいなんだろうなって、思ったんです」


「 確かに、きな ちゃんみたいな 女の子も めずらしいよね。

どこにも いそうで なかなか いない タイプの ステキな女の子だよ! 」


「そうなんですよ。きょうはの「は」を「ゎ」と メール してくるんですどね 」


「 さすが、JKだね!あっははは」


 信也 と竜太郎は、大笑いをして、生ビールと 焼き鳥の 追加の 注文した。


☆参考文献☆


<1> 青女論 寺山修司 角川 文庫

<2> サンデー・ジャポン 8月16日放送 TBS テレビ


≪ つづく ≫ --- 164話 おわり ---


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