第82話  20世紀少年と、T・レックス

 5月16日、朝から曇り空の土曜日。


 川口信也に、正午ころ、新井竜太郎から、

「また、一杯どうですか?あっはは」

と、電話があった。


 そして、午後の4時過ぎたころ。

信也と竜太郎たは、レストラン・デリシャスで寛くつろ)いでいる。

信也の妹の美結と利奈もいた。信也の恋人の大沢詩織もいる。

竜太郎の恋人の野中奈緒美と、落合裕子もいた。



 デリシャスは、竜太郎の会社、エターナルが全国に展開している、

JR渋谷駅のハチ公口から、スクランブル交差点を渡って、1分の、

世界各国の美味しい料理やドリンクを提供する多国籍料理のレストランである。


「わたしと、利奈ちゃんとは、音楽の好みが、すごっく似ているのよね。ねっ、利奈ちゃん!」


 そういて、詩織は、さわやかな微笑(ほほえ)みで、

テーブルの向かいの利奈を見る。


「そうなんですよね。詩織さんと好きな音楽が似ている感じなので、

わたしもうれしいんです。特に、テイラー・スウィフトが好きだと知って、

驚(おどろ)きました。でも、やっぱり、いいですよね!」


  18歳になったばかりで、早瀬田大学1年の、利奈は、

澄み切った瞳(ひとみ)で、詩織に微笑んだ。


「わたしも、憧れのミュージシャンが、利奈ちゃんと同じで、

テイラー・スウィフトなのは、びっくりしたんだけれど、うれしかったです。

夢や目標って、ビッグで、大きくって、高ければ高いほど、いいと思うんだけど。

達成できなかったとしてもね。うふふふ」と、詩織はわらった。


「そうそう、夢や目標は、大きければ、大きいほどいいと、おれも思うよ。

おれも、最近、マイケル・ジャクソンみたいに、キング・オブ・ポップを目指したいなって、

思っているもの。まぁ、やっぱり、尊敬できる人物とかって、憧れるし、

なんとかして、その人に近づきたいとおもうものなのかね。あっはっは。

しかし、マイケルのことが、こんなにいいと思うようになったのは、

詩織ちゃんからの影響だよ。マイケルのもの、なんでも持っているんだもの。あっはは」


 そういって、信也は、テーブルの向かいの竜太郎と、その隣にいる奈緒美や、

信也の両隣(りょうどなり)にいる詩織と利奈と、目を合わてわらった。


「おれは、しんちゃんが、キング・オブ・ポップを目標にしてくれることは、

とてもうれしいよ。しんちゃんのこれからの飛躍が楽しみですよ。

ロックでもほかの音楽でも何でも、楽しませてナンボ?っていうか、

エンターテイメント、娯楽性が大切だと思いますからね。

この前の、テイラー・スウィフトのライヴも、最高だったよね、みなさん!」


 そういって、竜太郎はわらった。


 5月6日に行われた、東京ドームでのテイラー・スウィフトのライヴを、

ここにいる、5人は、観(み)に行ったのだった。


「うん、よかった。最高だったよ!」と信也はいった。


 「最高だったわ!」と、詩織や美結や、みんなはいった。


「でもね。竜さん、楽しむことや、エンターテイメントも大事だと、思うけど、

このごろの、格差社会もなんとか、

変えて、よくしていかなければいけませんよね。

子どもたちの貧困率は、16.3%とかで、6人に1人の割合で、

いまも増えつづけていると、今朝のNHKiで言ってましたよ」


「そうだよね、しんちゃん。このごろの日本の凶悪事件や、世界で起こってる戦争にしたって、

貧困が原因で、人の心が荒廃しているせいかも知れないからね。

おれたちも、できることは、コツコツとやっていかなければいけないよね」


「マイケル・ジャクソンも


竜太郎の右隣の野中奈緒美は、そういって、微笑む。


 野中奈緒美は、テレビに出演もするなどで、人気上昇中のモデル、タレント、女優である。

新井竜太郎が副社長をつとめるエタナールの、芸能プロダクションのクリエーションに所属している。

クリエーションでは、子どもから大人までの幅広い年齢層の、

モデルやタレントの育成やマネージメントをしていた。


 野中奈緒美は、1993年3月3日生まれの21歳、身長は165センチ、可憐な美少


≪つづく≫ --- 82話 おわり ---

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