雲は遠くて

第24話 クラッシュ・ビート、ヒットチャート、上位へ

１０月２８日の月曜に、

クラッシュ・ビートのアルバムと シングルは、

トップ１０入りを 果した。

アルバムが、リリース（発売）されたのが、

１０月２１日であったから、

１週間のあいだに、

いきなり、ドカンと 売れた 感じである。

アルバム・タイトルは、シングルカットされた

ナンバーと同じ、

I FEEL TRUE　（ぼくが本当に感じていること）だった。　

レコーディング(録音）から、リリースまで、

わずか １週間という、短さであった。

リリース（発売）したばかりではあるが、

キャンペーン（販売の宣伝）、プロモーション（販売の促進）の

不足にも かかわらず、

彼らの アルバムやシングルは、いまも、よく売れて、

ヒット・チャートを上昇中だった。

そんな 見事な 人気の、理由のひとつには、

Twitter、LINEなど、

インターネット による 口コミ があった。

口コミが、顧客の 創出に

絶大な 効果を 発揮している。

彼らの、メジャー・デヴューの アルバムは、

ずばぬけた グルーヴ（高揚）感、

ボリューム(量感）、

完璧なリズム感などが、とくに 評判であった。

その ロックン・ロールのナンバー、１２曲は、

下北沢にある レコーディング・スタジオ・レオで、

９月２２日から、 約３週間、正味２５時間という、

短期間の、 猛烈な

ペース と、密度の中で、制作された。

それは、数多くの ライブで 培った、

お互いの 微妙な気持ちの

一致があるから、実現の可能なことであった。

下北沢の レコーディング・スタジオ・レオでは、

クラッシュ・ビートが レコーディングに入る 前日の

９月２１日の日曜日に、

グレイス・ガールズ （Ｇ ‐ ガールズ）の、

アルバムの制作が、完成したばかりであった。

モリカワ・ミュージックの、総力の 企画、

ふたつの ロック・バンドの アルバム、シングルが、

ほぼ 同時に、ヒット・チャートの トップ１０入りという、

業界でも 前例のない 快挙は、

新聞や ラジオや テレビなどの メディアでも 注目される。

そんな予想外の、人気には、バンドのメンバーも、

スタッフも、誰もが、驚き、

どのように考えればよのかと、言葉も 失うような、

とても不思議な 幸福感のある、心の状態であった。

１１月３日の日曜日、文化の日。午後の１時半ころ。

東京・ＦＭ のスタジオには、クラッシュ・ビートと、

Ｇ ‐ ガールズのメンバー全員と、

岡昇、松下陽斗が、

集まっている。

日曜日の 午後の２時の 番組、

『明日に架けるポップス』が、オンエア（on the air）だった。

「みなさん、お元気ですか！？

今回のゲストは、リリース（release）されたばかりの、

アルバムとシングルが、

またまた、同時に、ヒット・チャート入りという、

快進撃をしている

ロック・バンド、クラッシュ・ビートと、

グレイス・ガールズのみなさん、

それと、アルバム制作に、

特別参加の、岡昇さん、松下陽斗

をお招きしています！」

そういって、パーソナリティ（司会者）、２２歳の、

渋谷陽治が、番組を開始した。

「ようこそ、いらっしゃいました！」と、陽治。

「どうも、どうも、ようこそ、いらっしゃいました！」

と、もうひとりの、２１歳の、パーソナリティ、

本条知美もいう。

「はじめまして！クラッシュ・ビートのみなさん、

グレイス・ガールズのみなさんは、ちょっと前に、

いらしてただいたばかりですよね。

また、みなさんに、お会いできて、感激です！」

と、ＭＣ（司会者）の、本条知美は、

少女のように、よろこびの、笑顔になる。

「ぼくは、グレイス・ガールズのアルバムにも、

衝撃的な 感動を おぼえましたけど、

クラッシュ・ビートのアルバムにも、

またまた、ロックン・ロールの

すごいドライブ（疾走）感といいますか、

芸術品のような完成度に、

感動をさせていただきました！」

と、ＭＣ（司会者）の、渋谷陽治。

「ありがとうございます！」

スタジオのテーブルで、リラックスしながら、

そんな 挨拶をする、

クラッシュ・ビートと、グレイス・ガールズ、

松下陽斗、岡昇の、

１１人だった。

「それでは、まず、オープニングとして、

リスナーのみなさまも、お待ちかねですので、

ヒット・チャート、急上昇中の、

クラッシュ・ビートの、最高に明るくって、ポップな、

シングル・ナンバー、

I FEEL TRUE　（ぼくが本当に感じていること）を、

お聴きください！

そのあと、みなさんのお話を、たっぷりと、

伺わせていただきます！」

ーーー

I FEEL TRUE

（ぼくが本当に感じていること）　　　作詞・作曲　川口信也

ぼくが　本当に　感じていることを　話そう

きっと　笑われるかもしれないね

本当のことって　言いにくいものだよね

少年の日を　思い出してみよう

時間など　気にもせず

日が暮れるまで　遊んでいたよね

あどけない　少女の　きみは　

テディベアに　頬よせて　

幸せそうに　ほほえんでいたね

きみに　恋していたのだろうか？

きみの家の　近くまでいって

きみのことを思った　昼下がり

少年や　少女のころの　日々は

時間も　止まっているかのように

永遠に近く　やたらと　長かった

ぼくが　本当に　感じていることを　話そう

きっと　笑われるかもしれないね

本当のことって　言いにくいものだよね

少年の日を　思い出してみよう

緑の　草や木は　まるで　親友みたいで

いつも　ぼくらの　遊びの　仲間だった

あどけない　少女の　きみは　

いろんなものに　アンテナ　のばすから

男の子より　全然　オトナっぽかったね

きみに　恋していたのだろうか？

きみがいるから　楽しかったのは　真実さ

毎日の　学校も　心弾んだもの

少年や　少女のころの　日々は

無邪気と　オトナは　笑うけど

いつだって　すてきな夢を　見ていたよね

ぼくが　本当に　感じていることを　話そう

きっと　笑われるかもしれないね

本当のことって　言いにくいものだよね

少年の日を　思い出してみよう

喧嘩して　痛い　思いもあったんだ

でも　心まで　冷酷じゃなかったよ

少女の　きみは　ときおり　ふいに

ミステリアスな　オトナっぽい仕草して

ぼくらを　楽しませて　くれていたんだから・・・

きみに　恋していたのだろうか？

そんな　きみの　かわいい　面影さえも

遠い日の　記憶とともに　消えてゆく・・・　　

少年や　少女のころの　日々を

だれもが　忘れ去って　ゆくんだろうか？

大切にしていた　魂と　ともに・・・

ぼくが　本当に　感じていることを　話そう

きっと　笑われるかもしれないね

本当のことって　言いにくいものだよね

少年や　少女のころの　日々を

だれもが　忘れ去って　ゆくんだろうか？

大切にしていた　魂と　ともに・・・

It is such a thing that I feel true.

（ぼくが本当に感じていることはこんなことなんだ）

I don't want to lose the soul in the days of the child.

（子どものころの　魂を　失いたくないってことさ）

≪つづく≫　---２４話　おわり---