第651話関白殿、二月二十一日に(6)

清少納言先生:続きをお願いします。

舞夢    :了解しました。


中宮様は、帝からのお手紙を受け取りになられても、そのまますぐにはお開きにならないようで、その心配りが普通では考えられない程、すばらしいのです。

帝からの使者である式部丞に対しては、御簾の中から女房達が敷物を差し出します。

尚、三、四人ほどの女房が中宮様の御几帳の近くに控えています。

関白道隆殿は、

「それでは、あちらに下がって、お使いへの禄について考えるとしましょう」

と、おっしゃられ、お立ちになられます。

中宮様は、(それを確認してから)ようやく先程の帝からのお手紙をご覧になられます。

その御手紙に対する御返事は、紅梅色の薄葉紙にお書きになられています。

尚、お召しの着物と同じ紅梅色に、明るく映りあっている素晴らしさもあるのですが、やはり、その御返事の内容までは予想できる人は、誰もいないだろうとわかるので、それが残念でなりません。


清少納言先生:はい、そこまで。

舞夢    :お父上の関白道隆殿と、中宮定子様、なかなか上手なお心配りですね。

清少納言先生:それぞれの素敵な衣装もありまして、雅な雰囲気なのです。


※関白殿、二月二十一日に(7)7に続く。

 

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