第650話関白殿、二月二十一日に(5)

関白殿が、

「本当のことですよ、娘に愚痴を言う父親など、愚かとあなた方に笑われているのが、恥ずかしいのです」

などとおっしゃられていると、帝からということで、式部丞の某が参上しました。

さて、その帝から中宮様宛のお手紙は、まず伊周大納言様がお受け取りになられ、関白殿にお渡しになられました。

関白殿は封を開き、

「これは拝見したくなるお手紙。もし中宮様がお許しになられるのなら、開封して拝見いたしましょう」

とまではおっしゃられるのですが、

「いや、私に見られてしまうと、それは困るとお考えなのでしょう」

「それに帝に対しても、申し訳ないこと」

などとおっしゃられ、中宮様に差し上げなされました。


清少納言先生:はい、そこまで。

舞夢    :関白道隆殿は、上包みを解いた程度なのですね。

清少納言先生:はい、立文なので、手紙の内容まではわかりません。

舞夢    :それにしても、父親の気持ちが、よく出ていますね。

清少納言先生:確かにそうですね、素敵なお家族です。


※関白殿、二月二十一日に(6)に続く。

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