第594話身をかへて(2)
清少納言先生:続きをお願いします。
舞夢 :了解しました。
無位の雑色が、お目をかけられて六位の雑色になることも、素晴らしく思います。
去年の霜月の、賀茂の臨時の祭りでは、陪従の弾く琴を支えて持っている状態、とても貴族の仲間などとは見えなかったのに、今は蔵人となり、貴公子たちと一緒に様々な所に出入りする姿を見ると、何処の誰かと思われるほどです。
それも、蔵人所の雑色ではなく、他の役所から六位の蔵人になった人の場合は、格別にすばらしいとは思えません。
清少納言先生:はい、お疲れ様でした。
舞夢 :雑色とは、蔵人所の所属で雑役を行う無位の職ですね。
清少納言先生:はい、その通り。ただ、帝に近侍しますし、御衣や御膳、宮中の諸行事や、太政官との連絡係も行う仕事なので、優秀な人が抜擢される時があります。
舞夢 :他の役所からの場合は、普通の昇進の過程のような感じで、いきなりの抜擢ということが感じられないのですね。
清少納言先生:そうですね、蔵人所の仕事も、慣れていないせいか、見る者も無く、本人も、ただこなしているだけに見えるのです。
突然、普通の女房が高貴な人の御乳母になる、あるいは無位の雑色が蔵人に出世する。それが「身をかへて」の意味合いになる。
女房から御乳母の場合は、羨ましさと、元は同じ境遇であったためから、少し妬みのような感情。
雑色から蔵人の場合は、特に利害関係がないので、普通にほめている。
ただ、他の役所から蔵人になった人には、少々の批判が込められているようだ。
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