第552話見物は(10)

清少納言先生:続きをお願いします。

舞夢    :了解しました。


内侍の車などが帰ってしまうと、道中は相当混雑になるということで、違う道を通って帰ります。

これこそ、都の郊外をいう雰囲気で、なかなか風情があるのですが、卯木垣根などというものが、かなり荒々しく恐ろしいほどに茂っていて、道にはみ出している枝も多いのです。

それでも、その花は今は十分に咲いているわけではなく、つぼみ程度に見えるのを折らせて、車の屋形のあちらこちらに差してみました。

葵鬘がすでにしぼんでしまい、がっかりしていた折りもあって、なかなか風情があります。

また、すごく狭くて、通れそうもないと思っていた行き先の道が、いざ車を近くにしてみると、それほどでもなかったのは、面白かったのです。


清少納言先生:はい、お疲れ様。

舞夢    :渋滞を避けて、道を変えてみたら、面白い発見でしたね。

清少納言先生:卯木垣根は「卯の花の 折らまくほしき 山里に 郭公さへ 来つつ鳴くなり」などの歌があるほど、山里にぴったりなものなのです。

舞夢    :祭りを見て楽しみ、帰りは物見遊山、なかなかと思います。

清少納言先生:では、今度ご一緒に。


清少納言先生には、良い気分転換になったのだと思う。

本当に自然な文にして、自然な顔をなされている。

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