第550話見物は(8)

清少納言先生:続きをお願いします。

舞夢    :了解しました。


行列が戻ってくるのは、かなり先になると思っていたのですが、早くお戻りになられました。

扇からして、青朽葉の襲の色目が格別に雰囲気が深いのに加えて、蔵人所の人々が、青色の袍から白襲の裾をごくわずかに見せているのは、卯の花の垣根の近くにいるような感じで、もしかすると郭公もその陰に隠れているかとも思えるのです。

昨日は、一つの車に大勢が乗って、二藍の袍に同じ色の指貫を着るとか、別の人は狩衣を着るなどで、互いに好きな服装で簾も解き下ろして、正気とは思えないような感じだった君達が、今日は斎院のご相伴役になるということで、束帯姿になって威儀を正しています。

一人ずつ車に乗り出発し、静かに車に乗ったその後ろに、あどけない殿上童を乗せているのも、趣があるのです。


清少納言先生:はい、そこまで。

舞夢    :なかなか、静かな粛々としたお還りなのですね。

清少納言先生:それも、また風情があるのですよ。

舞夢    :ご相伴役も、緊張するのでしょうね。

清少納言先生:それは、また、様々であるけれど。


※見物は(9)に続く。

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