第523話心にくきもの(7)

清少納言先生:続きをお願いします。

舞夢    :了解しました。


宮中の局においては、気を許せない人がいます。

それもあって、こちらの灯を消しているのですが、近くに灯された高灯台の光が、隔てとなっている調度を超えて射してきてしまいます。

それだから、せっかくこちらの灯を消しても、当然物の形などは微妙ながらわかってしまいます。

仕方なく、短めの几帳を近くに引き寄せて、自分の姿を隠します。

実に、昼間にはこうして顔を近くに合わせることなどない人なので、几帳に近く姿勢を低くしていると、傾けた髪の美しさとか醜さなど、一目で見抜かれてしまうと思います。

直衣や指貫が脱いで几帳の腕木に掛けてあります。

それも、六位の蔵人が着る青色の袍を女房の局の几帳に掛けてあるのは、ふさわしいと思います。

六位の蔵人が着る緑では、見づらいこともあるので、局の後ろの隅に丸めて隠してしまって、朝早く帰るでしょうから、見つけるのに苦労させて、男に慌てさせたいと思います。



清少納言先生:はい、そこまで。

舞夢    :なかなか。いたずらです。

清少納言先生:意味わかる?眠れなくなるから、仕返しなの。

舞夢    :深い意味なんですね。

清少納言先生:実際には・・・言いません。


心にくきもの(8)に続く。


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