第505話いみじう暑き昼中に

清少納言先生:今日はものすごく暑い日のお昼のできごとです。

舞夢    :了解しました。訳をしてみます。


ものすごく暑い日のお昼のさなか、この暑さをしのぐには何をしたらよいのだろうかと考えて、扇を使ってみても、その風はなまぬるい。

それで、氷水に手をひたして、ああいい気持ちと大騒ぎしているところに、これ以上はないと思われるような真紅の薄葉紙に手紙をしたため、唐撫子の濃い紅色に見事にさいた枝に結びつけてあるのを、取次のものが持ってきたのです。

手紙の主が、これを書いていた時の暑さや、私たちへの好意の深さも、並大抵ではないと感じられて、氷を持つ手ではない手で使っていて、涼しくなくて不満だった扇を、途端に傍らに置いてしまいました。


清少納言先生:はい、ご苦労さま。

舞夢    :暑いさなか、おしゃれなことをする人がいたものですね。

清少納言先生:もっと熱い色を見せつけてきたのです、逆療法というのでしょうか。

舞夢    :なかなか、面白いお話です。暑さをさらに際立たせて、驚かせる、それもセンスよくですね。

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