第504話好き好きしくて(2)

清少納言先生:続きをお願いします。

舞夢    :了解しました。


その色好みの男性は、白い着物を何枚も重ね、その上に山吹や紅などの着物を着ています。

白い単衣で、かなり皺になってしぼんでいるのを見守りながら、手紙を書き終わったのですが、前に仕えている女房には手渡しません。

わざわざ立ち上がって、小舎人童とか、こういう使いに慣れた随身を近くに呼び寄せて、小声で口上を言い含めた上で、手紙を手渡します。

その使いが立ち去ってしまった後も、ずっと時間をかけて物思いに沈んで、経典などの、それなりの箇所をそっと口ずさみに読んで座っています。

すると、奥の部屋から、朝食の粥とか手水の支度をして勧めてくるようです。

ただ、それに応じて、そちらに歩いていくのですが、それでも文机に寄りかかって書物などを見ています。

それでも、気に入った面白い箇所は、声をあげて朗詠している様子が、とても風情があるのです。


清少納言先生:はい、そこまで。

舞夢    :情事の後の、身体も心も、物憂いという感じでしょうか。

清少納言先生:身体は戻ってきていても、心はここにあらずと、いうところですね。

舞夢    :とにかくお相手の女性の返事を待っているので、気も落ち着かないのですね。

清少納言先生:懸命に経典とか書物などを読んで、落ち着けようとするけれど。


好き好きしくて(3)に続く。




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