第483話宮にはじめて参りたる頃(6)

清少納言先生:続きをお願いします。

舞夢    :了解しました。


少し時間が経ち、前駆が大きな声で先を追ってくるので、他の女房が「関白道隆殿がおいでなさるようです」と言いながら、床に散らかしてあった物を片付け始めました。

私(清少納言)は、何とかして局に戻ろうと思ったけれど、緊張してしまって、全く動くことができません。

せめて、少しでも奥の方に引き下がろうとは思うけれど、さすがに拝見したいと思ったのです。

御几帳の隙間から、そっと覗き込んだのです。

さて、実際は関白道隆殿ではなく、大納言伊周様がおいでとなられたのでした。

そのお召しの直衣や指貫の紫の色は、おりからの白い雪に映えて、本当に美しく見えます。


清少納言先生:はい、そこまで。

舞夢    :お父様の道隆様ではなくて、お兄様の伊周様だったのですね。

清少納言先生:はい、兄と妹、なかなか仲が良いのです。

舞夢    :それはいい場面を拝見できそうですね。

清少納言先生:それだから、見逃せなかったのです。


宮にはじめて参りたる頃(6)に続く。

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