第453話井は

清少納言先生:今日は、井のお話です。

舞夢    :了解しました。訳をしてみます。


井は、ほりかねの井。

玉の井。

走り井は、逢坂の関という場所にあるのが、面白いと思う。

山の井は、どのような経緯があって、そこまで浅いという例になってきたのだろうか。

飛鳥井は、「御水も寒し」と、その水の冷たさを讃えているところが、面白い。

千貫の井。

少将の井。

桜井。

后町の井。


清少納言先生:はい、お疲れ様でした。

舞夢    :この段も、全て歌枕に関係するようですね。

清少納言先生:はい、その通り。まず、ほりかねの井は、武蔵の国。

「武蔵なる ほりかねの井の 底を浅み 思ふ心を 何にたとへん」なのですが、なかなか掘り進めない井という名前の付け方にも、面白みがあります。

その次の玉の井は、山城の国。「われならぬ 人にますな 行きずりに むすびおきつる 玉の井の里」

走り井は、普通には、勢いのある湧き水です。ただ、「走り井の 程を知らばや 逢坂の 関曳き越ゆる 夕影の駒」などとあります。

山の井は、岩代国の安積郡。「安積山 影さへ見ゆる 山の井の 浅き心を わが思はなくに」、当時は手習いをする人が最初に練習する歌でした。

それもあって「浅きためし」としています。

飛鳥井は、当然大和の国明日香村。「飛鳥井に 宿りはすべし や おけ 蔭もよし みもひも寒し みまくさもよし」から。「みもひ」は、水をいれる器です。

千貫の井は、京都。二条大路南、町尻西の東三条殿の西北のあたりです。

少将の井は、冷泉北、烏丸東、大炊御門南。

桜井は京都、后町の井は、常寧殿の近くの井です。

舞夢    :なかなか「井」と言っても、様々思い浮かぶのですね、勉強になりました。

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