第432話宰相の中将斉信(1)
清少納言先生:今日は、宰相の中将斉信様とのお話です。
舞夢 :了解しました。訳をしてみます。
宰相の中将斉信様、宣方の中将様、道方の少納言様が、中宮様の御前に参上された折に、女房たちも端の近くにおりまして何かとお話をしていたのですが、
私(清少納言)が今まで話していたこととは関係なく、
「明日はどのようなことを」と尋ねてみると、少しいろいろと考えてから、
斉信様がスラスラと、
「人間の四月をこそは」とお答えになりました。
とても、興味を誘われることなのです。
過ぎた日の事であっても、質問の意図を理解して間違えなく答えていただけるのは、どんな人であっても、興味を誘われることなのです。
だいたいにおいて、女性の場合はそういう事をしっかり覚えてはいるけれど、男性は覚えていないことが多いのです。
自分で詠んだ歌でさえ、しっかりと覚えていないのに、斉信様が覚えていてお答えになられたのは、本当に魅力を感じます。
※宰相の中将斉信:参議兼近衛中将の藤原斉信。
※宣方の中将:右中将の源宣方。
※道方の少納言:源宣方の弟。琴の名手。
※「人間の四月をこそば」:白楽天の「大林寺桃花」「人間の四月芳菲尽き、山寺の桃花始めて盛りに開く。長く恨みき、春帰りてもとむる処無きを。知らず、転じて此の中に入り来るを」
宰相の中将斉信(2)に続く。
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