第381話殿などのおはしまさで後(2)
右中将の源経房様が訪ねてこられました。
あれこれと、お話をなされるなかで
「今日さきほど、中宮様をお訪ねしてきました」
「ご様子はなかなか本当に感慨深いものがありました」
「女房たちの着ているものも、裳や唐衣など季節に合わせての心遣いが行き届いておりました」
「御簾の端の隙間から中を見ると、八人から九人くらいでしょうか、女房たちが朽葉色の唐衣に薄紫の裳を身に着けたり、紫苑襲や萩襲を身に着けた者たちが、美しく並んで座っておりました」
「それでも、御庭前の草が伸び放題でしたので、どうして草を刈らないのですか、刈らせればいいのにと声をかけると、宰相の君の声でしょうね、あえて草を茂らせて葉の上に露を置かせてご覧になっておられるのです、なかなか興味深いことです」
「それから他の人が誰も彼も話していたのですが、清少納言様が里下がりしたままで本当に気が沈む、小二条殿に仮住まいの間は、どれほど不快のことがあっても、中宮様は清少納言様は必ず側近くにいてくれるものと思っていらした、頼りにしていたのに、張り合いがないと」
殿などのおはしまさで後(3)に続く。
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