第357話頭の弁の、職に参り給ひて(4)

清少納言先生:続きをお願いします。

舞夢    :了解しました。


さて、少しして、頭の弁行成様がいらっしゃいました。

行成様は

「その時の手紙は、殿上人が皆、見てしまいました」

とおっしゃられます。

私(清少納言)が

「本当に私に対して、心遣いをされていることが、今のお話でわかりました」

「面白いことを言ったとしても、それを人が他の人に広めてもらわないと、寂しいものがあります」

「それと、他人には見られてはよくない手紙の場合は、人手に渡ると困るので、お届けされた手紙は、しっかりと隠して、絶対に他人の目には触れさせません」

「そうなると、私の配慮と行成様のお気持ちは、よく似ていますね」

と応えると

行成様は

「こんな感じで、全てを考えてお話をされるところが、思った通り他の人とは違うと思うのです」

「他の女の人なら、深く考えないで他の人に見せる、などと言うのですが、あなたもそんなふうかなあと思っていました」

と、お笑いになります。


清少納言先生:はい、そこまで。

舞夢    :なかなか、歴史に残る文筆家同士の会話ですね。

清少納言先生:私としても、残してくれて幸いです。

舞夢    :こうした生のやり取りも、余り残っていないので。

清少納言先生;そうですね、こういうことを書く人も少ないかな。



頭の弁の、職に参り給ひて(5)に続く。


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