第348話頭の弁(行成)の御もとより(4)
清少納言先生:続きをお願いします。
舞夢 :了解しました。
返事を受け取ってから、すぐに頭の弁行成様がいらっしゃいました。
頭の弁行成様は
「はい、下僕がまいりました、まいりました」
とおっしゃるので、応対に出ると
行成様は
「あのような文を出すと、返事としてたいていが通り一遍の謝礼の和歌を詠むなりしてくるのですが、本当に素晴らしいお返事です」
「多くの女性の中でも、ある程度歌詠みに自信を持っている方は、何かにつけて歌を贈ってきます」
「そういう女性たちよりは、あなたのような当意即妙に対応が出来る方が、話し相手としては好きなのです」
「私のようなものに、何でもかんでも歌を詠みかける女性は、かえって感性の良さを感じないのです」
と、おっしゃってくるので
私(清少納言)は
「そういうことになると、歌詠みが苦手な則光とか、なりやすになってしまいますよ」
と答えて、笑ってこの話は終わったのです。
さて、こんな二人のやり取りなのですが、行成様が帝の御前で、しかも人々が大勢揃っているなかで、披露してしまったのです。
それを聞いていたある人が
「帝も、清少納言の対応は素晴らしいと、仰せでした」
と、私に教えてくれました。
少々聞き苦しい自慢話のようですが、出来事としては面白かったのです。
清少納言先生:はい、お疲れ様でした。
舞夢 :行成様も、遊び心があるお方ですね。
清少納言先生:お互いに力量はわかっているのでね。
舞夢 :確かに歴史に残る文筆家同士です。
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