第340話関白殿、黒戸より出させ給ふとて(5)

清少納言先生:続きをお願いします。

舞夢    :了解しました。


そして宮の大夫道長殿が関白殿におひざまずきになった話を、何度も繰り返して申し上げると

中宮様は

「清少納言の例の思い人ですね」

と、お笑いになられる。

この時の様々な栄えあること以上に、この後の道長様の素晴らしいご出世を中宮様がご覧になれたとしたら、私が関白殿のご威勢を褒め称え申し上げたことが、理由があったのだと思われるのでしょうに。


清少納言先生:はい、そこまで。

舞夢    :道長様は思い人だったのですか?

清少納言先生:うーん・・・関心はありました。

舞夢    :やはり、先生が関心があり、それを中宮様に指摘されるほどの何かがあったのですね。

清少納言先生:まあ、その後は中宮様が皇后さまになり、もう一人の中宮様がお立ちになったり、皇后さまも若くしてお亡くなりになったし。


清少納言としては、後に道長勢力に押しやられてしまった道隆家の絶頂時をどうしても書きたかったのだと思う。

あの道長とて、道隆にひざまずいた時代があった。

つくづく、定子様の悲運がなかったら・・・様々考えてしまう。

歴史に「もし?」は禁物かもしれないけれど。

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