第321話暑げなるもの

清少納言先生:今日は、暑げなるものの、お話です。

舞夢    :了解しました。訳をしてみます。


暑苦しく感じるもの。

随身の長が狩衣を着ている姿。

僧侶でほうの袈裟を懸けている姿。

出居の座での近衛の少将。

色黒で、すごい肥満体で、髪の毛の多い人。

琴を包む袋。

七月に修法を行う阿闍梨。

勤行が正午となれば、その暑さは並大抵ではないと思われる。

また同じ季節に赤金を打つ鍛冶屋。


清少納言先生:はい、お疲れ様。

舞夢    :随身の長は、近衛府と兵衛府の下役に番長という立場があって、その番長が随身となった場合に、そう言われるのでしたね。

清少納言先生:はい、左右の袖腋を開けず、狩衣も花模様のついた特別のものを着るので、暑苦しく見えます。

舞夢    :ほうはボロ布を集めて作った法衣ですね。出居がわかりません。

清少納言先生:宮中で競射や相撲の儀の時に、庭に臨時に設ける席です。庭には花崗岩から作った白砂を敷き詰めて、平幕をかけて日差しを遮る工夫もするけれど、私たち女房から見れば、暑苦しく思うのです。

舞夢    :ところで琴の袋は?

清少納言先生:はい、ゴテゴテして暑苦しかっただけです。


確かに全て、暑苦しい。


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