第282話淑景舎、東宮に(10)

ほぼ、午後二時頃です。

「筵道をお敷きいたします」というほどの時間もなく、衣擦れの音とともに、帝がいらっしゃいました。

中宮様も、こちらにこられて、そのまま御帳台にお入りです。

女房も衣擦れの音をさせていたので、南廂に移られたようです。

廊には殿上人が本当に数多く控えています。

関白殿は、その様子を見て、

「果物や酒肴などを持ってきて差し上げてください」

「お付きの人たちにはお酒などをふんだんに」

と、ご指示なされます。

そういう話になりましたので、全員が酔い心地です。

女房と話を交わしている時は、お互いに興味を持ったようです。


淑景舎、東宮に(11)に続く。

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