第275話淑景舎、東宮に(3)
そういうことなので、中宮様は膝行をなさって御席にお着きになられたので、私(清少納言)も、そのまま屏風にしっかりと身を寄せて覗くことになります。
他の女房が、そんな私の姿を見て、
「覗くなど、お行儀が悪いのでは」
「ほんとうにドキドキしてしまいます」
と、中宮様のお耳に届いてしまうような声で言っている気持も、なかなか面白い。
さて、襖が本当に広く開けてあるので、中の様子はしっかりと見えます。
関白殿の北の方は白い上着に紅地を板張りにして糊をしっかりときかせたものを二枚ほど身につけられています。女房のものだろうか、裳を引きまとい、奥の方で東向きに座っているので、ほぼ御衣装だけが見える。
淑景舎は、北に少し寄り、南向きにお着席です。
紅梅の袿の濃いものと薄いものを何枚も重ねて、その上に濃い紫の御衣、少し赤い小袿、蘇芳色の織物、萌黄色の若々しい固紋の御表議を着用され、扇でしっかりとお顔を隠していらっしゃる。
確かに本当に素晴らしく可愛らしくも見えるのです。
淑景舎、東宮に(4)に続く。
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