第266話職におはしますころ

清少納言先生:今日は「職におはしますころ」のお話です。

舞夢    :了解しました。訳をしてみます。


中宮様が職におられた頃、八月も十日を過ぎた明月の夜に、右近の内侍に琵琶をお弾かせになり、中宮様ご自身は端の近くにお座りです。

他の女房たちは、雑談をして笑っているけれど、私(清少納言)は廂の間の柱によりかかって、何も話しをすることがない。

中宮様が

「ねえ、どうして黙っているの?あなたが話をしていないと寂しいのです」

とおっしゃるので、

私は

「ただ、秋の月の心を見つめているのです」

と申し上げた。

中宮様は

「そうですねえ、それもこの月には、正解ですね」

とおっしゃられた。


清少納言先生:はい、お疲れ様でした。

舞夢    :これは白楽天の琵琶行の雰囲気なのですか?

清少納言先生:まあ、名月と琵琶となると、そう取られるけれど。

舞夢    :そうなると、そういう機会があると、全てそう取られますね。

清少納言先生:そのまま、いい雰囲気だったと、捉えたいなあ。白楽天もあるけれど。



確かに、白楽天準拠を語る研究者は多いけれど、それにこだわり過ぎると、この文の詩情を理解することはできない。

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