第260話五月の御精進のほど(16)

清少納言先生:続きをお願いします。

舞夢    :了解しました。


さて、二日ほどたちました。

その日のことが話題にあがり、

宰相の君が

「どんな風に思ったのですか。『自分で折った』と彼が言っていた下蕨は美味しかったのですか」と話をしているのが、中宮様のお耳に入ったようです。

中宮様は、少し呆れてお笑いになり

「しょうがないですねえ、思い出すのがそういう話になると」

とおっしゃって、手元にあった紙に

「下蕨こそ 恋しかれ」とお書きになり、

「この下の句を作りましたので、上の句を付けてほしいのです」とおっしゃられるのも、なかなか面白い。


五月の御精進のほど(17)に続く。

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