第228話宮の五節出でさせ給ふに(完)

舞姫が御前に参上する際の付き添いとして、気分が悪くなりお供しない女房までを、中宮様のお言葉と言って、いるものが全員一緒に参る様子については、他の舞姫とは異なり、少々目立ちすぎたかもしれません。

今宵の中宮様が献上なされた舞姫は、相尹の馬頭の娘で染殿式部卿宮の北の方の妹にあたる四の君の御子様で十二歳、大変美しい舞姫です。

五節最後の夜となると、舞姫を背負って帰るような騒ぎはありません。

舞の終了後、ただちに仁寿殿を通り清涼殿の御前の簀子から、舞姫を先頭に中宮様の弘徽殿の御局に参上させたことは、良かったと思います。

束帯姿の男性が儀式用として佩びる細太刀に、三寸幅の平組の緖を付けてすっきりとした召使の男が持ち歩くのも、なんとも優雅です。


清少納言先生:はい、お疲れ様でした。

舞夢    :舞姫もそれを見守る人も、なかなか大変ですね。

清少納言先生:舞が終わると緊張と疲労かな、歩くのも大変になるので、背負われる女の子もいます。

舞夢    :実方様とのお話は?

清少納言先生:うん、特別な関係の小兵衛と見たんだけど、らちが明かなくてね。

舞夢    :先生と実方様とは?

清少納言先生:うーん・・・言えないけれど・・・どうせ遊びだし。

舞夢    :取り繕うとしたんですね、その場の雰囲気というか・・・


なかなか、複雑。

実方は小兵衛にも声をかけ、清少納言先生にも声をかけていた。

それで、清少納言先生が見ている前で、小兵衛に歌をよみかけ、小兵衛が返せないので、清少納言先生が小兵衛に歌を渡して、返させたのだけど、受け取った小兵衛が緊張してしまい、上手にできなかった。

五節の舞の待ち時間に、そんなことを言いかける実方もどうかなあと思うけれど、それが後宮社会なのだろうか。

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