第214話職の御曹司におはしますころ(15)
清少納言先生:続きをお願いします。
舞夢 :了解しました。
傍らに座っていた女房が
「今年の初雪も降って今までの雪に加わっているかもしれませんね」
などと言い
中宮様は
「帝のお耳にもはいりまして『本当にいろいろ考えて論争になりましたね』と殿上人にも語っておりました」
「それにしても、雪に添える予定の歌を披露してくれませんか、もう決着はついたおですから、雪を持ってきたのと同じことです、清少納言の勝ちだと思います」
とおっしゃられますし、他の人々も同じ考えのようです。
それでも私は、
「どうしてそんな意地の悪い意味がわからないことをされて、がっかりです」
と本当に嫌気がさして、顔もあげられない。
帝がそこに出御されました。
帝は
「中宮は本当に長年、清少納言をひいきにしていたと思っていたのに、今回の処置は、その気持ちがわからなくなりました」
などとおっしゃられるので、私はますます気落ちして辛くて、もう泣きそうになるのです。
私は
「もう、本当に辛い世の中ですねえ、後から雪が降り積もったのを喜んでいたのに、中宮様が『それは筋違いです、新雪は捨てなければいけません』などと、おっしゃられたしまいまして」
と申し上げるのですが
帝は
「中宮は、清少納言の勝ちをよろしくないと思ったのでしょう」
と笑っておられる。
清少納言先生:はい、お疲れ様でした。
舞夢 :いや、大変でしたね。
清少納言先生:まあ、がっかりもしたけれど、中宮様のおっしゃられることも、わかります。
舞夢 :あまり目立たせては、清少納言先生の立場も浮いてしまうということですか。
清少納言先生:うん、そうだと思う、少し張り切りすぎたしね。
清少納言先生は、笑いながらも目尻には涙。
常陸介が単なる笑いものだったように、中宮としては清少納言先生を目立たせすぎてはいけないと考えたのだと思う。
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