第201話職の御曹司におはしますころ(3)
清少納言先生:続きをお願いします。
舞夢 :了解しました。
その尼は
「男山の紅葉は世間の話題になるでしょうね、男と女の浮名も一緒に広まって」などと歌いながら、頭を左右に揺らします。
女房たちは、あまりの露骨さと卑猥さに嫌気も覚えてきたのですね、笑ってはいるけれど「さっさとどこかに消えておしまい!ほらさっさと!」と言うので、
私(清少納言)も、
「それでも、まあ可愛そうなところもあるから、それでもこの尼に何かくれてやろうよ」と言うのです。
そんな話を中宮様が聞いておられていて
「もう、近くで聞いていられません、こんなひどい歌を歌わせないでください」
「聞いていられなくて耳をふさいでいたぐらいです」
「ねえ、そこにある衣一枚くれてあげて、さっさと帰らせなさい」とおっしゃられるので、私が
「これは尊いご下賜品ですよ、あなたの着物が汚れているから、白い着物に着替えなさい」と、投げ与えました。
すると、その尼は腰を深々と曲げて、御下賜の衣を肩にかけ、舞をしたりします。
女房たちは、なんとその風体では考えられないことと思い、やはり気に入らないのですね、結局全員が御簾の中に入ってしまいました。
清少納言先生:はい、そこまで。
舞夢 :世俗と言いましょうか、白拍子の流れですね。
清少納言先生:そのようですね、なんでそういう生涯を送っているのか、わからないけれど、可哀想でね。
舞夢 :中宮様も、呆れてしまったけれど、それでも芸には何かを渡すんですね。
清少納言先生:まあ、芸と言ってもねえ・・・少なくとも職の御曹司には似合いません。
中宮とかなり低層の女との関わり、不思議に面白いものがある。
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