第123話殿上の名対面こそ(3)
清少納言先生:続きをお願いします。
舞夢 :了解しました。
滝口の武士のうち、ある者は細い小さな声、ある者は声高に名乗りをあげます。
時により、宿直の誰かがいないので今宵は滝口の名対面を行わない旨を帝に申し上げます。
そういう場合にも、蔵人が滝口に「どういう理由か」と尋ねるので、滝口が差し支えるという理由を申し上げます。
普通は言い分を聞いて、蔵人は帰るものですが、「方弘が勝手に帰ってしまった」と言って君達がお教えになると、方弘は「どうして言っておいてくれないのか」と、本当に腹を立て、滝口に怒るし処罰を考えたりします。
しかし、そんなことをするものだから、滝口の武士にまで、方弘のいい加減さを笑われてしまいます。
そう言えばね、方弘はこんなことがありました。
御厨子所の御膳棚に沓を置いてしまい、女房たちに見つかって大騒ぎになりました。
方弘も一旦は、知らんぷりを決め込み、女房たちと面白がって騒いでおりました。
「一体、誰の沓かなあ」と主殿司の女官や女房たちが言っていると、「ああ、そうでした、実は私の沓でした」と白状して、一層大騒ぎです。
清少納言先生:はい、お疲れ様。
舞夢 :中には冗談好きなのか、適当なお方もいたんですね。
清少納言先生:方弘は、源氏ですが、イタズラかなあ、それにしてもね御膳棚は帝の食事を調理する場所の材料を置く棚ですからねえ。
舞夢 :なかなか、不思議な人なんですね。
清少納言による宮中ルポ。
清少納言だけが書くことが出来た生き生きとした描写だと思う。
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