第121話殿上の名対面こそ(1)

清少納言先生:今日から殿上の名対面の話となります。

舞夢    :はい、よろしくお願いします。


殿上の間で行われる名対面は、日課であるけれど、興味が惹かれるものです。

帝の御前に当番の蔵人が伺候している時は、そのままの場所を動かず、夜の御殿から宿直の者を確認するため名前を問うのですが、それも見ものです。

点呼が終わって足音を立てながら殿上の間から退室するのを、上の御局の東側から耳を澄まして聞きます。

点呼の際に、宿直人として愛人の名前を聞いた女房は、皆そうですが胸が詰まるような思いをするようです。

また、特に便りもなくなり、不安に思っている愛人の名前を名対面の時に聞いたなら、どんな思いになるのでしょうね。


清少納言先生:はい、お疲れ様。

舞夢    :殿上の名対面のことを、もう少し具体的に説明をお願いします。

清少納言先生:場所としては、清涼殿の殿上の間、時刻は毎夜亥の刻ですから今の時間では、午後十時半になります。当番の蔵人が宿直人の点呼をするのですが、先に殿上人、その次に前庭で滝口武士となります。

舞夢    :女房たちは、そこで耳をそばだてるのですね。

清少納言先生:名前を聞くと身体を動かす女房がいるの、それでピンときます。


様々、関心を持つ清少納言先生である。

特に音信不通となった愛人の名を聞いた女房は、辛いんだろうと思う。

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