第65話小白河といふ所は(6)

清少納言先生:続きをお願いします。

舞夢    :了解しました。


返事をもらったのでしょうか、使いの者が少し歩き出すと、扇を差し出され女車に呼び戻しているので、返事の歌などの文字を間違えた時ぐらいには、こうして呼び戻すのだろうと思います。

それにしても長い間待たせて自然に浮かんだはずの歌であるならば、直す必要もないと思うのですが。

使いの者がこちらに戻って来る間も、「どうでしたか、どうでしたか」と皆同じことを尋ねておられる。

使いの者はそれに答えず、権中納言がお言いつけになられたので、中納言の許へ参って、少し気取った様子で、申し上げています。

三位の中将が「早くおっしゃって、あまりにも格好をつけて、失敗してはいけませんよ」などとおっしゃられ、使いの者が「女車の君からのご返事は、『有心過ぎてしそこな』ったものでした」と言っているのが、私の所まで聞こえてきます。


清少納言先生:はい、お疲れ様。

舞夢    :「有心過ぎてしそこな」がわかりません。

清少納言先生:意味を持たせ過ぎてとか、大げさに扱おうとして、上手くできなかったと意味になります。

舞夢    :女車の君の「品定め」のようですね。

清少納言先生:まあ、それほど注目されてしまうとねえ・・・


なかなか、当意即妙に歌も詠めないと、この時代の宮廷社会は難しい。

狭い社会で、下手な噂のほうが、評判が広がるのが早い。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る