第38話人にあなづらるるもの

清少納言先生:今日もかなり短い文です。

舞夢    :はい、それでは訳してみます。


人から見下げられるもの。

築地土塀の崩れ。

度を越して八方美人と、世間の人に知られている人。


清少納言先生:はい、お疲れさま。

舞夢    :確かに築地土塀は崩れていると恥ずかしいものですね。

清少納言先生:崩れたら補修しないといけないんだけれど、その努力がない。

       お金もないのかなあ。

       築地土塀の場合は、柵の両側に粘土を積んで表面を漆喰で固める。

       瓦を上に乗せるのだけど長年の風雨と飛んできた草の実が根を張る。

       それを道行く牛馬が食べようとして引っ張り、瓦がずれる。

       一旦崩れ出すと、そこに雨水が沁み込んでますます崩れる。

舞夢    :八方美人については?

清少納言先生:うん、軽薄な女のこと、自分ではモテモテと思って舞い上がる。

       影では呆れられています。誰にでも媚を売るのはねえ・・・


注釈書の中には、築地土塀を直す財力のない貧困な弱いものを軽視しているとか、万人向けの好人物に対する嫌悪感(自分にだけの好意的存在ではないから)は自己中心的感情と批判するものもある。

つまり清少納言を高慢で自己中心的な人物と批判するのである。


しかし、ここまで訳してみて、とても、そうは思えない。

清少納言が求めたのは、人としてあるべき姿に対して、どこまで努力をしているのか、結果が出ているのかだと思う。

築地土塀の修理にしても、やるべきことはやらないといけない。

八方美人も度を過ぎると、主体性もなく、ただ媚を売っているだけになる。

現代の社会でも、そういう家、人も時々見かけるけれど、確かにほめられたものではない。

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