つまり、タイムリープは出来ないってこと

作者 水鏡月 聖

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★★★ Excellent!!!

 時間とは何か? それはただの言葉だ。


 時間は、人間が言葉を用いて創ったルールにすぎない。したがって、言葉をもたない生き物には時間という概念はなく、常に今しかないのだ。


 言葉は、人間以上の高度な生命にだけ与えられた、無いものを在ると置き換えることができる魔法なのである。


 たとえばE=mc2のように、違う記号を等式でつなぎ合わせることによって性質を変えることなく、形而上から形而下へと、言葉というエネルギーから物質へと変換することができる。内側にしか存在しない時間という概念を、外側の世界にあるように見せかけているのだ。そして2017年の現在、この外側の世界にある時間軸を遡行することは不可能とされている。


 そういうルールだからだ。


 もし、外側の世界でタイムリープを成そうとするならば、このルールを変えなくてはならない。

 ここで言うルールとは、物理的な法則のことだが、これは不変ではない。世界のルールは、誰も天動説を信じなくなったように、言葉によって立てられた仮説を証明することで支持され、置き換わる。シュレディンガーの猫のように、観測者することによって、結果を変えることができるのだ。


 内側に流れる時間はその人だけのものであり、過去に戻ろうが未来へ進もうが自由だ。不可能を可能にしてきたのはいつだって、この内側に存在する自由なアイディアを言葉によって発露してきた結果なのである。



 何を言っているのかわからなければ小説を読んでください。難しいことはわからなくても楽しめるSFとなっています。


 個人的には2話目の『青春文楽家の時間跳躍』が好きです。これが一番時間の操り方が美しかったように感じました。

★★ Very Good!!

タイトルにもある通り、タイムリープはできない。
けれど、タイムリープに近いようなことはあるよね? という感じで、短編集として、それぞれタイムリープに限りなく近いものが題材とされ、物語が展開されていきます。
例を出すとすれば、写真のようなものでしょうか。
写真というのは時を止められるわけではないけれど、その画像一枚には確かに時が止まったように、その瞬間が刻み込まれています。
これがタイムリープのようなもの、というわけです。まあ、本編はもっと濃い内容ですので安心してください。
タイムリープとタイトルにあるものの、基本的には現実的な内容で(賛意両論あります)、現代ドラマなどのジャンルが好きな方でも読むことが出来るのではないでしょうか。


個人的には第一章と最終章が好きです。

やはり、一章が一番きれいにまとまっていますし、なにより、導入なだけあって、ひきこませる要素が強いです。
あとは、最終章。
最後のセリフはおそらくこの作品を表しているのでしょう。登場人物の名前を覚えるのは苦手で(それぞれの章を読むのに時間が空いていたのもあったのでしょうが)、全然気づきませんでした。
伏線回収、というのも綺麗で、作品全体としてもまとまりがあってよかったです。

皆さん、ぜひご一読を。

★★★ Excellent!!!

筆者のタイムリープを元にした短編集です。

第一話を読ませて頂きました!

記憶を失いつつも、最愛の人物が目の前から消えていく、想像しただけで背筋が凍るように冷たくなりました。

知っているからこそ、なまじ辛い経験というのはあります。最初から繋がりがなければなんとも思わないでしょうが、途中を知っているからこそ、その悲しみは増幅する。

一瞬にして人間ドラマを見させて頂きました。ありがとうございます。

次の作品にも期待して、星3つ送らせて頂きます。