偉人の柩は迷宮に眠る

作者 ぺんさん

202

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★★★ Excellent!!!

最初に見た印象は、確か「変な作品だな」だったと思います。児童文学のような、柔らかいですます調。我々の世界の偉人が異形の「異人」となり、彼らの力「遺産」で戦う設定。初めて一話を読んだ時、やはりよく分からないものがあったのですが、今回続きを読み始めると、止まらなくなりました。はい、そんでこんな時間に読み終えてレビューですよ! 分かるかねこの凄さが!!
本作は伏線の張り方が凄く、よくわからないと思った一話も、後で読み返してみると「ああああ、そういうことかー!」とスルスル頭に入って気持ちいいこと。これは最低二度読むべき作品だ!
第一話でタツヤくんとロザリーちゃんが出会った荒野、そして異人が月の光を必要とする設定と合わせて、この作品は明るい月が照る夜のイメージが常にあります。
大地を流れる龍脈で生物が変異し、世界の果てが存在し、本編では世界の危機が差し迫る、そんな異世界ファンタジー。その中で動くキャラクターはとても生き生きとして、それぞれがそれぞれの矜持を持ちながら、みんな気持ちのよい奴らです。
誰を助けて、誰を助けないのか。いや、自分だけが助けられると思うのは傲慢なことだったのではないか。かつて異人狩りとして、ある種の英雄であったタツヤくんの心の旅は、日常の檻から読者を解き放って自由にしてくれる。そんな力強い物語だと思います。

★★ Very Good!!

読んでいると、無性に外国を思い出す。
正確には、海外で作られた物語を思い出す。
子供のころ無数に読んだそれらの小説は、大抵日本人によって翻訳されているにも関わらず、純日本産とはどことなく、何かが違うのだ。
それは目の付け所であったり、交わす言葉であったりする。まるで異なる世界の住人が描いたかのように。
設定は一見既視感を覚えるようなものだ。個人的にとても「運命」を思い出す。「過去の偉人の力を借りて云々~」という作品は、探せば他にもあるだろう。
具材は見知ったものだというのに、出来上がったらまるで違う。それは料理人の腕前や調味料に因るものだ。
そしてそれらは、今まで見たこともないような輝きを放っている。

はまる人はすごくはまる。そういうタイプの個性的な作品である。はまらなくてもそれなり以上には楽しめるはずだ。
これを狙って書いているのだとしたら大変嫉妬してしまうので、僕としては作者の素のセンスだと思いたい。
「どちら」を「何方」と書かれることに抵抗がないなら、ぜひ。

★★★ Excellent!!!

ファンタジーの世界を、すごく丁寧に描いているという印象です。

まずもって、雰囲気作りに見事に成功していると思います。語りかけるような文章は、割りとハードな話であるにも係わらず、柔らかくまとめられていて、読み味がとても良いです。
また、キャラクター一人一人が非常に魅力的な上、決して使い捨てないところがとても好きです。特に、ずんぐりとノッポにもきっちりけつまつをよういしているのは、とても嬉しかったです。あの二人の関係性も、またただの利害関係とも友情とも言い切れない、なんとも言えない空気が非常に好みです。

個人的にはタツヤ君のキャラクターが非常に好印象で、まさに主人公といった芯の強さと、少年らしい未熟さを併せ持つ上、全体的に爽やか。話の構造上、視点が多くのキャラクターに移り変わりますが、その中でもタツヤ君が出てくるだけでテンションが上がるくらいには好きです。

4話が終わり、キャラが出揃ってきて、いよいよ物語が動くといったところでしょうか。今後の展開を楽しみに待ち望んでいます。

★★ Very Good!!

2話まで読ませていただきました。

異世界モノに疎いため、
「奴隷少女との逃避行」であったり、
「英雄の力で戦う」というのが斬新な設定なのかどうかは
申し訳ないことにちょっと分からないのですが、
演出の力が冴え渡っている作品だと感じました。

ストーリー自体はシリアスな部分が多く、
重苦しい雰囲気になってもおかしくはない物語ですが、
独特の文体がそれを読みやすくさせていると感じました。
絵本、童話を思わせるような優しい文体で語ることで、
ただ重い、暗いというのではなく、妖しい軽み、
あるいは親しみやすさが生まれ、
独特の魅力に繋がっているのかもしれないと思いました。

面白いお話を考えるだけではなく、
それをどのように見せるかという演出部分が大切だということを、
この作品を読んで改めて考えることができました。
今後の更新も楽しみにしております。