第4章 3人のプリンセス

3人のプリンセス(1)

「飛鳥」

「なんだい?」

「このゲーム、何か意味があるのでしょうか?」


 明樹斗を打ち倒した翌日。

 僕は、お見合いデスゲームの最後となるゲームを送信すべく、文章を打ち終えたところだ。それを見たクリスは、僕の斜め後ろに立ってそう告げた。僕の目はスマホを向いているが、クリスが腕組みしながらこちらをジト目で見ているのは想像出来る。


 僕が送ろうとしているメールは、こうだ。


『これは最後のゲームです。


 <主催者特定ゲーム>

 ・このゲームの主催者が誰か、特定することを目的とする


 ・特定の前に、3度の質問が可能

 ・質問は、YESorNOで返答出来るもののみとする

 ・返答が出来ないと判断したものは、NGと返答する

 ・“○○は主催者か?”という質問はNG


 ・最後に、“○○を主催者と特定した”という特定メールをする

 ・特定成功で勝利となる


 ルールは以上となります。なお、本ゲームに拒否権はございます』


 デスゲームと銘打ちつつ、誰も死んでいないというカラクリ……それがバレた今、ゲームの強制力は薄い。だから、最後の文面はいつもと違うものだ。


「飛鳥が主催者であること、とっくにバレているのでは? 一昨日は私に黙って彼女らと会っていたようですし、何より昨日……明樹斗と対峙したあなたは主催者のそれでした」

「そうかい?

 昨日僕は、確かに主体的に動いて、明樹斗をハメて勝利を手に入れた。でも、それだけのこと。僕はこれまで、全てメールで彼女らとやりとりをしていた。そんな主催者が、わざわざ現地に出向くことなんて、彼女らは想定するだろうか?

 加えて、あえて主催者を特定させるようなゲームをしたんだ、逆にあんな場にいた僕が、主催者だとは考えられないかもしれない」

「……」

「もしくは、そうだな……明樹斗と僕の関係にしろ何もかも、ゲームを盛り上げるための演出でした……それで収まらないかい?」

「……苦しすぎます」


 ま……そりゃそうだ。

 けど。


「あ……間違って送ってしまったよ」

「……わざとらしい。送ってしまったものは仕方ありません……が。ゲームの意味以前に、全員参加拒否する可能性だってありますよ?」

「そうなった時は、そうなった時だ。ご縁がありませんでした今後のご活躍をお祈りしています……ってやつだね」

「婚活と就活、一緒にしないでいただきたいものです。それにしても飛鳥、楽しそうですね。ゲームを始めた当初と大違いで。……誤算ですよ、まったく」


 楽しそう? 僕が?

 ……いや、そうだな、その通りだ。こうして26人の中から、優秀なメンバーが分かったんだ。そんな彼女との最後のゲーム……そしてその後、会うことになるだろう彼女達。それを考えたら、確かに楽しいし、楽しみだ。


「ま。今回のゲーム、私はいっさい関わりませんので」


 クリスはもう、明樹斗の件で、僕が言い出したら聞かないようになってしまったと、あきらめたようだ。以前クリスも言っていたが、僕はこれまで押さえつけていたものが、一挙に溢れてしまっているのかもしれないな。


 さて……菜夕、桜子、香美乃、妃世子、友利……彼女らの返答はいかに。

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