俺たちは生き続ける


 あれから数時間後。


「うおぉおおおおおぉおおおお!」


「うわぁああああああああああ!」


 俺たちは叫びながら走っていた。


 あの怪物の言っていた通り、ある一定のところまでは他の怪物はどこにもいなくなっていた。


 しかし、俺たちは進み過ぎた。


 そう、怪物に見つかったのである。


「ゆっきーさんゆっきーさんゆっきーさん! 怪物を殴り飛ばせえるようになったんですよね? やってきてください!」


 その怪物は車と像が合わさったみたいな見た目をしており、どう見ても重量級、どう見ても愚鈍そう、なのに車部分のせいでバカみたいに速かった。


「バカ言うな! あれ殴っても無理だろ! それにさっきちょっとそらすぐらいはできるか試したが力を吸収する前と同じように全然意味なかったんだよ!」


「え! じゃあ力なくなったんですか!?」


「たぶんあれだ。最後殴ったときにエネルギー出しちゃったからできなくなったんだと思う」


「怪物化の心配もなくなってよかったですね!?」


「いや! お前をおぶりながらこの速度で走れてるってことは身体能力が前より上がってるんだと思う! だからたぶんあれだ! エネルギーを中にとどめておくと怪物化が進むんじゃないか!?」


「じゃああいつから一瞬だけ吸ってすぐはいてくれば……!」


「だから無理だろ! はねられておしまいだ!」


 そんな言い争いをしながら俺たちは逃げ続けた。

 

 これがこれからも続いていく俺の日常。


 たとえこんな荒廃した世界でも、たとえ怪物が跋扈している世界でも、変わらず続いて行く俺の日常だ。


 俺は、いや、俺たちはこれからもこんな世界で生き続ける。


 こんな、ヒーローが負けた世界でも俺たちは生き続けるのだ。


「うわぁあ! どうしましょうどうしましょう! もう少しで追いつかれるぅ!」


「後ろを見るな! 前を見ろ! というか俺から降りてくれませんかね!?」


「そんなことしたら私が死んじゃうじゃないですかぁ!」


「うわっ! 暴れるなぁ!」


 ずっと、この先も。

 

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