4-8.嵐の夜が明けて

 ってわけだ。

 翌朝……というか今朝だな。山小屋の爺さんに、それぞれ連絡先とか預けて、俺達は下山した。

 俺と女は北区から中央区の方に、兄妹は山を越えてハリの方に行ったよ。

 可哀想なのは爺さんだな。俺達が荷物とか出したら、小屋の中はガランとしちまって、後に残ったのは爺さんの持ち物と死体、あと荒れ果てた部屋が一つ。

 今頃は山を下りて、軍か制御機関に連絡したんじゃねぇの? 本当に災難だったぜ。次は意地でも汽車に乗ることにするよ。


 なんだ? 変な顔して。


 今の話は本当かって?

 俺が作り話なんかするような人間に見えるのかよ。

 疑うなら、北区にでも問い合わせてみりゃいい。今頃、消えた男を探して山には軍がわんさかいるだろうしな。


 え? 男がいた部屋の様子? なんでそんなこと聞くんだ?

 話した通りだよ。ベッドがあって、小さいクローゼットがあって、ベッドの横にはテーブル……。

 クローゼットのことは話してない? そうだったか?

 でも中に誰かが隠れてるとかはなかったぜ。使ってなかったんじゃねぇの?

 クローゼットは濡れてたか? ……いや、濡れてなかったな。それがどうかしたのか?


 ……殺したのは男じゃなくて、その兄妹? どういう意味だ?

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