運命なんて曖昧なものは信じていない私だが、読んで3分……ここに新たな運命論者が誕生しました!
ごく短いストーリー、しかもセリフが多くを占める文章の中で、これだけの「場の雰囲気」を感じさせる筆力には脱帽です。 大人同士だからこそ交わすことのできる、知的な確率の話には惚れますね。
数字で始まる、恋の入り口。頭の切れる大人の男と、簡単には靡かない大人の女。確率論で始まった二人の関わり。その先が知りたくなるような、大人の恋の魅力たっぷりの物語です。きっとここからは、数字では説明のできない情熱的な恋が始まるのでしょうね!
気になった人に出逢って掛ける言葉は、きっかけ探し。それも、相手の心に留まれるような。こんなことを言われたら気になってしょうがない。
無駄がなく洗練された会話だなぁ、と感じました。25パーセントから、0か50パーセント、そして0か100パーセントと確率が上がっているのも素敵です。
出会ってしまえば100%か、要は運命の相手と思わせる必要がある、それが難題( ̄▽ ̄;)容姿が良ければその確率も確かになりそう。
なら、黙って100を信じる。 出会いがそこにあったんだから……
『マンハッタン・キス』(竹内まりあ)に発展する情景まで目に浮かびます✨
バーでの男女の会話です。短い中にセンスが散りばめられており、こういう男性がいたら、天邪鬼な女性も気を許してしまうでしょう。確率も、運命の前には、そして、小粋な会話の前には、どうにでもなってしまうものです。
男女がバーにいて、女性がはにかむ笑顔が想像できます。男は、口説き文句を考えたのでしょうか。バーでの嗜み方を少し教わったような気がします。
何かもう少し色々と違ったのかなあ~と感じたのは、あくまでも個人的な感傷であり、作品の本質を表すものではありません。何ともお洒落で雰囲気抜群な本作。男も女も大人であり、計算された動物の様に感じました。最後の一文に全てが集約するスタイルは個人的に好きな展開ですし、完成された短編であると思います。