気付いてしまった。ー12ー


飲み物を買うと、私達は劇場へ。


映画は不良同士の抗争を描いたバトル物。


やっぱり主役の俳優さん、かっこいいなぁ。

こないだまで爽やかな大学生やってたとは思えない!


可愛らしい顔立ちのわりに中身はかなり肉食系ってとこが本当たまらない。


なんだか、藤宮くんみたい。


・・・って私、また!


だけど


『高坂くん!私はいいから早く逃げて!貴方が危険な目に遭うのは嫌なの』


ヒロインが人質にとられ、主人公が助けに行くシーンだった。


『そんな真似できっかよ!俺はお前の為なら死んだっていい!お前だけは絶対に助けるから!』


か、かっこいい・・・。


最後主人公はボロボロになりながらもヒロインを捕らえていた集団のボスを倒し、ヒロインとキスをして終わった。


本当に本当に良かった。


ああいう彼女を大事にする人って素敵だなぁ。


「立夏、映画良かったね!主人公の高坂くん、カッコよかった」


「だな。でも、俺としてはあんま恋愛要素は求めてなかったな」


「あ、あはは。そ、そっか」


恋愛要素が良かったのになぁ。


なんだかずっともやもやしてる。


立夏とのデートなのに。


「本当泣いちゃった。本当良かったよね!映画」


「ん。映画観たら、蜜葉をもっと大事にしなきゃなって思った」


「えへへ。私もだよ!なんか、照れちゃうなぁ」


「蜜葉、顔まっかっかだ」


「君の顔もまっかっかだよー?」


私達の前をカップルが通り過ぎる。


恋人繋ぎしてすごくラブラブな感じ。


あのカップル良いなぁ。


多分、私と藤宮くんが観た恋愛映画を観たんだろう。


「あのカップル良いなぁ。和やかで」


ああいうの憧れるなぁ。


「バカップルすぎないか?」


「もう!分かってないなぁ、立夏は」


私があんな風に隣を歩きたいのって・・・


頭に浮かぶのは私をからかって笑う彼の姿だった。




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