君を好きになりたい。ー4ー


「めっちゃ良かった!主人公ちゃんが幸せになれて!」


「透子先輩、泣き過ぎ。はい、ハンカチ」


「あ、ありがと。だって最初可哀想だったし!好きな人が親友の彼氏になるんだよ!?」


映画を観終えると、私は大号泣。


「まるで透子先輩みたいでしたね」


「やっぱり!?めっちゃ共感したよ、私」


「ふふっ。透子先輩のが百倍可愛いですけど」


「あ、あの子のが絶対可愛いよ!私なんかよりずっと。人気女優だよ!?」


「いやいや」


「でも、あんなに好きな人がいても突然違う人を好きになっちゃうんだね。新しい恋かぁ」


「先輩もそうすれば良いんですよ」


「えっ?」


「俺にしたら良いんですよ、先輩は」


「も、もう!藤宮くんは冗談が上手いなぁ」


「冗談なんて言ってませんよ、俺は」


藤宮くんはにやっと笑って言った。


えっ・・・


「透子先輩、このワンピースなんてどうです?」


映画館を出ると、私達はショッピングビルへ。


「藤宮くん、それは短すぎるんじゃ?」


藤宮くんが持っている白いレースのワンピースを見て私は言う。


「夏ですよ!生脚出さなくてどうするんですか!先輩!」


「生脚好きなの?」


「透子先輩の生脚が見たいだけです」


「えっ・・・そ、そんな細くないから!無理無理!てか、藤宮くんって変態だね、ちょっと」


「変態!?いや、男子なら皆こうですよ。ほら、試着して!先輩!」


「えーっ!?」


やっぱり強引だ。


「ど、どうかな?」


私は恥ずかしがりながらも試着すると、藤宮くんに見せる。


「うん。やっぱりすごく可愛いですね、先輩!」


ふ、藤宮くんっ!


「彼女さん、とっても可愛いですね!」


店員さんが試着した私を見て言う。


えっ!?


か、彼女!?


「あの、違いま・・・」


「はい。可愛くて仕方ないんですよ、彼女」


藤宮くんはにっこりと笑って言う。


藤宮くーん!?


すると、店員さんは顔を赤らめる。


「透子先輩、それ買いましょう」


「えっ!や、私はさっき見てたマキシ丈ワンピのが・・・」


「あんな長いのはだめ。ありえない」


「は、はい」


後輩とは思えないくらい藤宮くんは最近私と距離感が近い感じがする。


たまにタメ口が出るし。


結局、短いワンピ買っちゃったなぁ。



「藤宮くん、このジャケット良いんじゃないかな」


藤宮くんとメンズブランドの店に行くと、私は言う。


「確かに。大人っぽさがありますね、黒で落ち着いてるし」


「藤宮くんってこういうの好きなんだ?」


「まあ読んでるのが大学生向けのファッション誌だし」


「大学生向け読んでるんだ」


「はい。大人でいたいですし。透子先輩が年上だから」


「藤宮くんは落ち着いてると思うよ?こないだの合コンにいた一年生で一番大人っぽい感じが」


「まあ、あいつらはガキですからね。下ネタばっかだし、くだらない事でずっと爆笑してるしらバカばっか。一緒にされたくないですね」


「でも、友達なんだよね?」


「まあ。でも、俺は違います、あいつらとは」


ユキちゃんや愛未や藤宮くんを爽やかでいつもニコニコしている優しいふわふわした男子と思っているらしい。


だけど


私は知っている。


藤宮くんは意外とクールなとこがあり、一年生ならではの幼さも無い。


精神的には私より上な気がする。


「先輩も気に入ってるし、このジャケット買いますね」


「あ、うん!」


どうして私に構うんだろう?


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