はじめてのおべんとう。ー7ー


だけど


「よぉ」


「は?何で立夏がいるわけ?」


家に帰るなり、リビングで我が物顔でくつろぐ立夏を見て私は言う。


「母ちゃんおせぇらしいから透子んち行け言われた」


「そ、そう」


やだなぁ。


今、なるべく立夏とは話したくないのに。


「お前の部屋行っても良い?ゲームやろうぜ」


「ん。分かった」


彼女が出来ても立夏は気にせず、私の家に行く。


「愛未が気にしない?私んちにいるとか知ったら」


「あいつは気にしないよ。俺を信じてくれてるから」


「あっそ。」


何で家でまで立夏に振り回されなきゃいけないんだろ。


「てか、透子はまたあのガキとデートか?」


「まあね。クレープ食べて来た」


「どうせ遊ばれてんだよ」


「ふ、藤宮くんはそんなチャラい子じゃないよ!」


立夏は藤宮くんを分かってない。


私の部屋に着くと、私はゲーム機をセットする。


「格ゲーでいい?いつもの」


「ああ」


はぁ。


二人っきりとか辛いよ。


今は距離を置いてたいのに。


「くっそ!透子、強すぎ!」


「ゲームで私に敵うわけないでしょ!おりゃっ!」


「げっ!秘奥義使いやがった、この女」


「全く。相手にならないなぁ」


「はぁ。透子はやっぱりゲーム強いな」


「立夏と違って私はゲームが恋人だもん」


「ガキん時は俺ばっか勝ってたのによ」


「明日、ジュース奢ってね。私が勝ったんだし」


「へいへい」


ん?


いきなり私のスマホにLINEが入る。


藤宮くん!


(透子先輩、うちの庭ににゃんこが来ました)


写真つき?


あっ!


藤宮くんから送られて来たのはかなりメタボ体型な白い大きな猫の写真。


(俺はおっさんって呼んでます。メタボ体型だから(笑)野良なのに懐っこくて可愛いですよ。)


猫におっさんって!!


「あははっ」


「透子?」


「ご、ごめん。藤宮くんから面白いLINEが来て」


「また藤宮か」


(藤宮くんのネーミングセンス(笑)

可愛いね!私も触りたいー!)


私は藤宮くんに返信する。


(もっふもふです。今度透子先輩にも会わせたいな)


やっぱり可愛いなぁ。


このLINE、和む。


「透子!」


「な、何?立夏」


「次は違うゲームやんぞ。暇だから付き合え」


「あ、うん!」


「何なんだよ、あのガキ・・・」


立夏は不機嫌な顔をしていた。


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