その後輩、小悪魔ですよ。ー7ー


「藤宮くんって彼女いるのかと思ってた。私の友達も言ってたからさ、藤宮くんはかなり女子に人気だって」


「いませんよ。俺みたいなのが何で好きなのか理解不能です。もっとかっこいい人いるじゃないですか」


「そんな事ないよ!藤宮くんって可愛らしいし、一緒にいて和むんじゃないかな?私も初対面なのに話しやすいよ?」


「先輩って結構人に騙されるでしょ?」


「へ!?」


「俺、皆が思うような男じゃないですよ。結構黒いし」


「そ、そうなの!?」


「はい」


謙遜してるのかな?


「先輩は何歌われます?」


「えっと・・・」


友達とカラオケ行く時、男性アイドルや男性バンドばっか歌ってるんだよね。


「アイドル行っときます?今流行りの」


「え?あ、うん!」


合コンなんだし、可愛らしい曲が良いよね?


藤宮くんがカラオケの機械をいじると、女性アイドルグループの曲が入れられる。


「お、これ入れたの誰ー?」


「透子入れたの?」


「う、うん!」


でも、この曲歌うの初めてだ!


歌えるかな、心配。


が、頑張ろ。


私は緊張しながらも女性アイドルグループの楽曲を歌う。


初めての恋に悩む女子の気持ちを歌った歌だ。


私らしくないチョイスで自分で自分が気持ち悪く感じる。


慣れてないからか声たまーに裏返るし、歌詞間違えるし。


グッダグダ!


歌い終わると、ぐったりする。


慣れない事するんじゃなかった。


「透子先輩、歌お上手ですね!」


藤宮くんは拍手をしながら言う。


「あ、ありがとう」


「すっごく可愛いんで動画撮っちゃいました」


「ちょっ!な、何してんの!?け、消して!」


私は藤宮くんからスマホを取り上げようとする。


だけど


「嫌です。俺、この動画見て何回も萌えたいですから」


「わ、笑うつもりなんでしょ?」


「笑いませんよ」


「も、もう!」


「俺、この動画永久保存しーちゃお」


藤宮くんとは初めて会うはずなのにやたらと話しやすいな。

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