第1部 第四幕 響詩郎と雷奈 新たな道
第1話 響詩郎と雷奈(前編・上の巻)
「
時刻は夜10時過ぎ。
参拝時間はとうに過ぎ、そこで働く職員らも仕事を終えてすでに帰宅している。
本来であれば
彼らは皆、神社の親戚縁者たちだった。
その中には雷奈の祖母にして最高責任者の
一堂に会した彼らの前で
そう。
言うなればこれは
3メートルほどの身長を誇る漆黒の大鬼は、主たる
その素早くもダイナミックな動きに、その場に居合わせた親戚縁者らからは感嘆のどよめきが上がった。
以前に
「
そこにあらかじめ用意されていた横に寝かされた状態の大木を
人が2人がかりでようやく手を回せるほどの太い幹がいとも簡単にへし折れるのを見た親戚縁者らから再び大きなどよめきが上がった。
無論、そんなことはおくびにも出さない。
だが、自分以外の候補者である姉や
姉は穏やかな微笑みを浮かべて妹である
元々、鬼
その様子からも
(2人には悪いけど、鬼
「
そもそも彼女の微々たる霊力では
その代わりに代償として差し出した「ある物」が消費され、
その「ある物」がなくなれば
「これをもって
ただ1人を除いて。
「納得がいきません。
憤然と手を挙げてそう言い放ったのは
肩までの短めの黒髪を振り乱してそう言う彼女の顔は怒りで赤く染まっている。
そんな
「な、何ですって!」
「
2人は今にも爆発しそうな剣幕で
そんな2人に静まるように告げ、
「
「だったら……」
「じゃが肝心なことを忘れるでないぞ。
「そ、それは……」
悔しくて雷奈を
「では。皆の衆。本日はご苦労だった。各々気をつけて帰られよ」
「
「おばあちゃん……」
「この愚かな
そう言うと
残された
その時、
【おめでとう。
それは
だが
そうした期待を裏切る結果になったわけであるから、本人も思うところが色々あるだろう。
それでもこのメールの内容は姉の本心からの言葉であると
承認式の場で
猪突猛進型の
【お姉ちゃん。ありがとう】
それはある銀行口座の内容が記載されたネットバンキングの画面だった。
「はぁ。1万イービルがあっという間に消えた。ちょっと顔見せした程度なのに。これ実際に妖魔との戦いで
そう言うと
イービル。
それはこの世界とは表裏一体の異世界である魔界に流通する貨幣・妖貨を表す単位である。
そして
そう。
先日の
それが結ばれた契約の内容だった。
「お金で
先ほど
「誰にも文句を言わせないほどの実績を作る。それしかない」
妖貨を代償とする形で鬼
彼女はそう信じて自分の道を突き進むことに決めたのだ。
なお、妖貨は一般には知られておらず人の世では使い道のない通貨だが、実際には妖魔に関連する取引などで使われている。
そうした経緯から
人から奉納されたり、妖魔が世話になった礼として置いていったりしたものだった。
今回、
「
妖貨を代償にする。
そのアイデアを提示した
これから
それが
「
そうは言うものの
すでに彼はプロの罪科換金士として2年あまりの業務経験を持っている。
おそらくその経験が彼を実年齢よりも落ち着いた若者に見せているのだろうと
そして自分の歩むべき道。
さまざまな事柄が
「自分の目で確かめないとね。行き先を他人任せにするなんてガラじゃないし」
そう言うと
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『オニカノ・スプラッシュアウト!』
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