第5話 雷奈と響詩郎(後編・下の巻)
「う……ぐああああああっ!」
「あ、
突然の
「いかん!」
事態を見守っていた
「何があっても絶対に手出しは無用と言ったはずだよ」
「しかし、あれでは
「
そう言う
彼は苦しみながらも
そんな彼の隣に
その様子を見て
「あれは……」
「意志疎通をしているんだろう。互いに真意を探り合う好機だ」
鬼が簡単に人の言葉に耳を傾けるとは思えなかったが、
人外の存在と言葉を交わすことの出来るその力を
(
彼の心の声は切実な響きとなって
それが彼女の
「悪路王。彼の声を聞いて。彼は敵じゃない。私とあなたを
思いを
だが
黙して語らぬ大鬼は
「まだだ。粘りな。頑固な鬼を説き伏せるんだ」
事態を見守りながらそう言う
「しかし
「ぐうっ!」
その様子からも
「もういい! あなたがそこまでする必要なんかない!」
ほとんど金切り声でそう叫ぶ
「ぜ……絶対に見捨てたりしないって言ったろ」
「……!」
その言葉に
「ば、馬鹿じゃないの! そんな死にそうになってるのに。今すぐ儀式を中断しなさい!」
「こ、ここでやめたらまた元に戻るだけだ。お飾りの鬼
目の前にいる
自分にはない強さを持つ
「くっ……。このままいくぞ」
「まずは……今ある不完全な契約の破棄からだ」
だが、そこで
「くはっ!」
「あ、
鬼を従える鬼
契約が不完全であるという
「もう! 私の声が聞こえないの?
怒りの声を上げる
「あ、
そう言う彼の隣では
「まだなの? まだ終わらないの?」
「も、もうすぐだ。もうすぐ終わる」
(そろそろマジでやばい。骨がイカレちまう)
体を
少しでも気を抜くと一瞬で意識が途切れそうになり、
彼の意識が飛んでしまえば
(まだか! 来い!
そして……。
果たしてそれは10秒と経たずにやってきた。
「け、契約の解除を確認。新たに契約を締結する」
その途端、
そして
「うげっ……」
畳に背中を打って声を上げると、
それを見た
「ちょっと! しっかりしなさい!」
「イッ、イテテテッ。体中が痛いんだからあまり触るなっての」
そう言われてハッとした
そして自分のポケットからハンカチを取り出すと、それで彼の鼻血をそっと拭ってやった。
「あなた。死んだかと思ったわよ」
「うぅ……俺もだよ」
苦しげにそう言う
「とりあえず大ケガってわけじゃなさそうだ。しばらく痛むだろうけどな」
そう言う
「どうして
先ほどまでその全身から放っていた凶悪なまでのプレッシャーもすっかり消え去っていた。
「お、俺がどの程度本気なのか試したんだろ。とりあえず鬼のおメガネにかなって良かったよ」
そう言って腹の底からのため息をつく
「あなたって変な奴ね。体は弱いくせに無鉄砲で。そんなことしていると、いつか死ぬわよ」
「少しは褒めてくれよ。
そう軽口を叩く
「まあステキかどうかは別として、根性あるのは認めるわ。お疲れさま。で、この後は代償契約ね」
そう言って緊張の面持ちで再び気を引き締める
「そんなに堅くならなくてもいいよ。もうここまでくれば後は難しいことはない。契約自体はあっさり終わるさ。問題は霊力不足のあんたのために何を代償にするかってことだけだな」
「代償……」
それを何にするべきか正直なところ
だがそこで彼らの後方から
「それについては私のほうから提案があるんだ。とても建設的でしかも
そう言った
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『オニカノ・スプラッシュアウト!』
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