A7-3
──
暗殺
情報がないために、
だが、今は
結果として技が破られた。当然のごとく、アオイにとって──いや、一色家にとって初めての経験だ。ゆえに、仕方ないのだろう。
ここで彼女の殺気が
山本は、そこを突く。着地から
「ハァーッ……。ここからは、俺の時間でいいか?」
山本の左腕が、動いた。
アオイはすぐに振り返ろうと、反射的に身を起こしつつ腕を持ち上げる。
だが──それが
左腕で首を
──そこからは、様々な事が起こった。
山本はアオイの片腕と首をまとめて
そのまま
うつぶせとなるアオイに
全ての動きが並行し、相手の全身を機械的に制する。
時間にして一秒以下。こうして、山本の
今やアオイは片腕を
まさに完封。右腕を欠いてなお、この完成度で技を極められるのが山本道則だ。
「おっと……これは見事! もはや
「そうかもしんねえな。ここまで
やはり熟達者の寝技は
「むー……ううっ!」
「ギブアップしたければするがいい。
ここにきてアオイは初めて、一人で苦戦と呼べる状況に
左腕は? 動かせない。頭は? ヘッドバットも出せない。
さらに、残された時間も少ない。
例えば
プラネットにおける絞め技も、
──右腕。
動くが、
……いや。ひとつ、狙えるところがある。
「わた、しは……まもる……」
苦しげに空を
「一番になる……鋭一との、約束を……まもる!」
「しま……ッ」
山本はこの時点で寝技を解くべきだった。だがそれは間に合わなかった。アオイの全身から、殺気が解放される。この山本ですら
アオイの指が背後に伸びた。その先には、山本の顔……その右目があった。
──目潰し!
「何だと……ッ」
山本のVRゴーグルの中で、右の視界が赤く
その
だが、山本としては
「ウ……ウオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!」
山本が、
実況席が、観客席が驚き、身を
山本がなぜ叫んだのか。激戦による興奮。勝利への必死さ。それもあるだろう。だが、もう一つ。
それは、
彼は恐れていた。どこまでも
飛び離れたばかりで体勢が十分でないアオイの横から、山本は低い姿勢のタックルを
アオイは山本へ向き直る事はせず、横向きのまま
山本が
キュッ。
直後、その相手を見失った。
──
キュッ キュッ キュッ キュッ キュッ キュッ キュッ
アオイはこの奥義を連続使用し、横移動を
「な……んだと……!」
視力の残った山本の左目には、今……七人ものアオイの姿が映っていた。
残像による
「鋭一……わたし、勝つよ」
少女は
一瞬だが、強力な接着効果のあるスキル〈ストロングガム〉。鋭一に教わったこのスキルで足の裏を接着し、アオイはこの奥義を使用可能としていた。
一色葵は『
残像による分身で
一度『
「…………見事、だ」
それだけ言うのがやっとだった。彼が口を閉じるよりも早く、その身体は
[FINISH!!]
[WINNER AOI]
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