β54 第2部 エピローグ
「お誕生会のご招待をありがとうございます。春から高一です。バレエも続けたいですし、美術が好きなので、パリでスケッチ旅行もしたいです」
♪ ハッピーバースデー、むーく。
♪ ハッピーバースデー、むーく。
♪ ハッピーバースデー、ディア、むくちゃーん。
♪ ハッピーバースデー、むーく。
「おめでとう! むくちゃん!」
「十五歳、おめでとう!」
むくです。
十五歳になりました。
「ありがとうございます。お誕生会、嬉しいです」
「良かったね、こんなに大きく育って。私も安心だわ」
「母さん、百五十センチちょいだよ、むくちゃんは」
「美舞、マリアお義母さんは、身長の話をしていないって」
「儂は、元気であれば良し」
「そうね、ウルフ」
むくには、マリアおばあちゃまとウルフおじいちゃまがいます。
実は、お二人には、秘密があるのです。
二人共、若い頃は傭兵で、様々な戦地にいたらしいのです。
そして、秘密の痣があったと聞いています。
左手の五芒星は、漆黒のマリアと呼ばれた、おばあちゃまに。
右手の六芒星が、白銀のウルフと呼ばれた、おじいちゃまに。
それぞれを適切に使ったマークだそうです。
それから、おじいちゃまの一目惚れとおばあちゃまの恥ずかしがりやさんで、結婚したと聞いていますが、おばあちゃまは、嘘だと言っています。
大人は、少し難しいです。
「むくちゃんは、ケーキのどこがいい? じいじが取るぞ」
「まーまだったら、プレートのホワイトチョコをあげるよ? むくちゃん」
「ちょっと、アレは? アレ!」
「アレですね、マリアお義母さん。ロウソクでふうー」
そのマリアおばあちゃまとウルフおじいちゃまとの間に、美舞まーまが生まれたのです。
おばあちゃまに似て、左手に五芒星、おじいちゃまに似て、右に六芒星の痣がはっきりとついて生まれ、驚かせたそうです。
美舞まーまの両の手に携えた力は、詰まる所、神の中の神の力で、憑かれた様になってしまい、様々な敵と闘う中でコントロールを覚えます。
その闘いの中、玲ぱーぱとは、運命の中、出逢ったのです。
玲ぱーぱは、美舞まーまに、結婚を申し込んだのは、自分だと言っていますが、美舞まーまは、気を失っていたから、知らないと言います。
やはり、大人は、少し難しいです。
「ロウソクやるの? 玲?」
「アレと言ったら、ロウソクでしょう。ね、マリアお義母さん」
「それも良いわね」
「え! 違うのですか? お義母さん」
「アレと言ったら、アレじゃ。ぱーんってするの。な、マリア」
「それも良いけど、アレはアレなのよ」
「何だろうね、玲」
「考えてみるよ、まーま」
美舞まーまと玲ぱーぱは、大人になってから、結婚し、流星の囁きにより、むくを授かります。
そのむくは、スーパーベイビーで、テレパシーや飛翔ができます。
気のせいではなく、できたのです。
美舞まーまは、睡眠障害の様な、奇行を繰り返します。
そこで、玲ぱーぱの愛情とむくの特別な力で、美舞まーまを神から救おうとしました。
むくの手は、闘いの後に見られたら、秘密が見つかります。
しかし、怯まないと、ぱーぱとまーまは、誓ってくれました。
「あー、アレがここまで出掛かっているのに、分からないわ」
「母さん、落ち着いて」
「大丈夫じゃ、何とかなる。儂も、アレアレになる時がある」
むくの名前は、白無垢の無垢から、ぱーぱとまーまで、お腹にいる時に、付けてくれました。
無垢は、汚れのない純真を表します。
だから、むくが、僕でも私でも構わないのです。
でも、自分の事は、むくと言う事にしました。
「そうだ! プレゼントかな? お義母さん」
「あ、そうよ! そうね! 玲君」
「当たった? 母さん」
「あー、良かったのう」
「むくちゃん、ハッピーバースデー!」
「ハッピーバースデー! むくちゃん!」
「十五歳、本当におめでとう!」
「生まれてくれて、ありがとう!」
「ありがとうございます。むくは、嬉しいです」
そのまま、十五歳になり、隠している事があります。
むくはむくであって、私とも僕とも呼びにくいのです。
大人には分からないかも知れないと思うから、沢山の愛に囲まれていても。
だから、この場では、ナイショです。
――むくは、また、あいたいです。
【第2部 玲の愛 完】
醒なる美舞☆玲の愛 いすみ 静江 @uhi_cna
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