第45話「新たな旅路へ」
「あの世界はシルフィード王家が滅んだ後、世界各国で争いが続いて……それはどうにか収まったんですが、世界の核になるものが損傷してしまいました。守護神が修復を試みたものの、滅びを遅らせるのが精一杯なの」
「そ、そんな、わたしの故郷がそんな事に」
ユカは泣き出しそうな顔になっていた。
「アマテラス様、全ての世界はあの戦いの後、元に戻ったんじゃなかったんですか?」
ミカがアマテラス様に尋ねた。
「それがね、核が損傷したのはつい先日なの。あの世界もいい方向に向かいかけてる矢先に」
そんな……。
「アマテラス様、それならあたしが行って直してくるわ。あたしは世界を創れるんだし、修復だってできるわよ」
いつの間にか気がついたランさんがそう言った。
創造を司る精霊ってそんな事もできるのか。
「ラン、あなたでもあれは無理よ。私でも無理だったんだから」
「やってみないとわからないわよ。だってそこにいる隆生さん達やタケルくん達だって、アマテラス様が予想もつかなかった事をしたんだし」
「……そうね。諦めちゃいけなかったわね。ごめんなさい。ではあなたと彼女と私でまたやってみましょうか」
「ん? 彼女って守護神様の事ですか?」
僕がアマテラス様に尋ねると
「そうよ。あの世界は元々私が見てたんだけど、世界復活後に守護神を送ったのよ」
「そうでしたか」
「ねえ、あたしって何か凄い力あるんでしょ? それは使えないの?」
ミルちゃんが聞いてきた。
「そうだわ。ミルの力も借りれば……一緒に来てくれる?」
「うん!」
「あ、あの、わたしも一緒に行きたいです。もう知ってる人は誰もいないはずですけど、それでもわたしの故郷ですし」
ユカがそう言った。
「わかりました。ユカもお願いね」
「どうする皆?」
「ん? 何だ隆生、聞くまでもないだろ」
「そうですよ。ユカやミルちゃんが行くならわたしも」
「オイラも着いてくよ」
「おれだって」
皆思いは同じだった。
「え~と、僕も行っていい?」
「ボクもお手伝いするよ」
ルーにセリスも……うん。
「我も着いていくぞ。多くの者の為にな」
カルマも。
「今度は僕も行くからね~。娘にも会いたいしね~」
「よくわかりましたね。あそこの守護神が誰なのかと」
「わかるさ~、だってセイショウも行きたいって顔に書いてるよ」
「そりゃ行きたいですが」
「行けばよろしかろう、あなたは神である前にあの方の兄上なんじゃから」
眷属様がセイショウさんにそう言ったけど「娘」や「兄上」?
あ、そういう事か。あの世界の守護神様って彼女なんだ。
「……まあ、少しの間なら留守にしても大丈夫ですよね」
「俺も着いて行きたいが、もうあの世に戻らんといかん。無事を祈ってるぞユミコ、皆さん」
ショウケイさんがそう言ってきた。
「ああ……父さん、また会えるよな?」
姉ちゃんがショウケイさんと話しているところにサオリさんが話しかけた。
「優美子お姉様、うちの世界に来てくれたらまたショウケイさんを呼んであげますから、ご心配なく」
「あ、ああ。ありがとう、サオリ」
「隆生、私はまだ少しは生きられるようだ。だからあの家で皆が帰ってくるのを待ってるぞ」
「じいちゃん……じゃあ行ってくるね」
「ではじい。お願いね」
「わかりましたわい。では、ご武運を……はっ!」
眷属様が持っていた杖をかざすと、その場から僕達の姿が消えた。
「行ってしまいましたね。さ、私は自分の世界を立て直しますか。勝隆さん、お家までお送りしますわ」
「はいサオリ様。私も何かお手伝いしましょう。それと皆が帰ってくるまでは」
「大丈夫じゃよ。儂の命を少し勝隆殿に分けてあげたからの。まあミルちゃんが花嫁衣装を着る日までは生きられるじゃろて」
眷属は誰もいなくなった後で一人そう呟いた。
隆生達の新たな旅路は……どうなるのかな?
第二部へ続く
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