第38話 ごめんなさい
長い…長い…メールだった…。
ごめんなさい…何を誤ればいいのか解らない。
そんな内容だった。
そして…ありがとう、と付け加えられていた。
こんな自分を好きでいてくれて、ありがとう…。
彼女自身も、きっと解らないのだ。
何をどうしていいのか。
普通の生活に憧れている…。
そんなことがポツリと書いてあった。
でも、その生活に馴染めるか自信が無いそうだ。
風俗しかしらないから…。
見守ってほしい。
そう綴られていた、僕に…。
浅はかで軽いのかもしれない…とも書かれている。
彼女が風俗を辞めるまで、僕は、他の男に抱かれ続ける彼女を見続けるのだろうか…。
それは…愛を閉ざさなければできないことだ。
愛していれば、それは耐えられないほどの苦痛。
僕は…なにをもって他の男と区別されるのだろう。
いっそ風俗嬢として彼女を求めている男のほうが、彼女の理想に近いのではないだろうか。
僕に求められるのは…ただ彼女に触れずに見守ることだけ…。
「御飯は?」
「奢ってもらった」
「お風呂は?」
「ホテルで何度も入った」
「SEXは?」
「外で済ませてきた」
4コマ漫画なら、こんな感じなのだろうか…。
いっそ、こんな感じで小説に
彼女の言いたいことは解る。
でも…僕は、それに対して返信すらできずにいる。
「掲示板、さすがに病むよ」
少しして、そんなメールが届いた。
本当は、今すぐにでも抱きしめたいのだ。
僕だけは…そう言いたい。
メールでそう返せないのは、なぜ…。
今日、仕事終わったらメールするから、そのときだけは返信してね。
彼女にしてみれば、足の問題なのだ。
送ってくれないならば、他に頼まなきゃならない…当面はそれだけ…。
僕は、どうしたいのだろう…。
ただ抱きたいだけなら…どれほど楽になれるのだろう。
書き込んでいる連中の大半は、そんな思いが叶わないから誹謗へ走る。
それを否定する気はない。
それも…彼女の招いた結果だからだ。
彼女が悪いとは言わない…ただ僕のように扱われている男の感情が、結果そういうことを招いただけ。
悪気すらないかもしれない。
僕だって…ただ
解っていたはず…最初から…。
きっと本当の想いは、言葉にできない…そんなに上手く表現できない。
だから…この世界には無数の言語があり、今も言葉は変化し続けるのだろう…。
ヒトは、時代が変わっても、きっと想いを音に乗せていく…。
言葉となって、自分の想いを伝えようとするだろう…。
今の僕のように…。
今の彼女のように…。
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