五十七振目 日本刀を売る時2

 日本刀を売るとなると……お値段が気になるところです。

 一つの目安としては買値の50%~70%です。ただしこれは……買値が適正価格だったらという場合です。つまり、本来は150万円の品を200万円で買っていたとしても、売値は75万円にしかならないというわけです。

 ですから買う前に、「手放すとしたら幾らで買い取ってくれますか?」と聞いておくのも一つの手です。適正価格であれば、自信を持って回答してくれますので。

 買値が分からない場合……たとえば家伝の宝刀、もしくは遺品などであれば同じ銘の同じぐらいの状態にある販売刀を調べ、そこから類推しておけば良いかと。

 

 では、実際に売るとしまして。

 売り方にも幾つか種類があって「買取り」、「委託販売」、「下取り」があります。それぞれで値段が違いますが、以下の通り。

 なお、ここから下に示す「%」についてですが、買い取った店がそれを販売する際の値段との比較としてです。また、店舗が普通の良心的な店としての値です。

1)買取り

 刀剣店が買い取るもので50%~60%。

 即座に現金化できますが、その分だけ安くなります。

2)委託販売

 刀剣店が顧客から預かり代理で販売をするもので60%~70%

 ただし販売期間があるため時間がかかる点と、委託中に必ず売れるとも限りません。なお、売れないと買取りに移行する場合が一般的です。

 注意点として委託中は店に預けた状態のため……店がいきなり倒産や撤退した場合はどうなる事やら。以前はそれがあって、ちょっとしたパニックが起きてましたが顛末は知りません。

3)下取り

 別の刀剣代金の割引きとして引き取るもので60%~75%

 ただし、新しく買う刀剣もある程度の値段が必要。


 上記が大まかな目安ですが、中には買取り20%なんて店もあります。

 逆に下取り価格が極端に高い店もあるわけですが、えーこれはつまり……売値にそれだけ上乗せされて……まあ、そこは言わぬが花でしょう。

 なお、その売りたい刀剣を買った店であれば、上記より5%ぐらいは多くみてくれる場合もあります。これは顧客を囲い込むという点もありますが、同時に保証があるからです。つまり刀剣には偽物が存在するため、一度確認した品であれば(すり替えられてなければ)リスクは低下するからです。


 刀剣屋は様々なリスクを負って商売をしています。

 偽銘に贋物、証書のすり替えに証書の偽造、登録証の偽造。再刃や繕い疵欠点盗品。さらには売れる刀に売れない刀、返品もあれば盗難の危機もある。そして商売としてやる以上は利益を出さねばならない。

 なかなか苦労されているようです。

 ただし買い取りした日本刀を自店で売る店は少な目。たいていは日本刀の市に出して、その過程で何ヶ月か何年かほとぼりを冷ます(表現としては悪いですが)。

 よっぽど信用出来て、事情を分かってくれると判断した客相手でないと自店では売りに出さない。ですので……たとえ100万で買取りされた刀が200万で販売されていようと気分を害さず、店から信用されているのだと思うようにしましょう。ええ、そう思いましょう……。

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