五十振目 似て非なる模造刀

 模擬刀とも呼ばれますが、とりあえず模造刀と表記します。

 銃刀法上では模造刀剣類といった扱いになり、正当な理由なく携帯する事は当然ながらOUT。コスプレは演出の一貫として判断される……かどうかは不明。

 なんにせよ留意すべきかと。


 この模造刀の最大の特徴は”折れる”ことにあります。

 まず、模造刀は折れなければ武器という扱いになるため、折れねばならない宿命があります。模造刀販売で折れない事を謳い文句にしている店もありますが、これは武器の不法販売を主張しているに等しい。

 何にせよ必ず”折れる”という点を認識せねばなりません。

 折れるとどうなるか……鞘に収めた瞬間に折れた人はまだマシで、振り下ろした瞬間に折れてしまい、先が飛んだ(なお、飛んで壁に刺さった)人もいます。けっこう危ない。

 模造刀を推奨する居合い流派もありますが、危険性は考慮されているのかな?

 さらに模造刀でも居合用と観賞用があります。

 居合用はそれなりに頑丈ですが、観賞用はそうでもない。それは値段にも反映されており、安いからと観賞用を買って居合いをやる人もいますが、もちろん折れやすいので思わぬ事故になりかねず非常に危険。

 観賞用は2万円程度、居合用なら5万円程度なのですが……ネット販売などでは、観賞用か居合用か表記が曖昧となっている場合もある。高いから居合用と限らないので注意が必要。

 もし模造刀で居合を行うのであれば、必ず「居合向け」とあるか確認を。


 まず真剣と模造刀の違いは、製造法と材質から始まります。

 真剣は鍛造品として金属を叩き(つまり折返し鍛錬にて)成形。材料は鋼。

 模造等は鋳造品として、鋳型に溶かし金属を流し込み成形。材質は亜鉛やアルミや合金。

 この鋳造品は型に金属を流し込み固めるという製法上から、元からして強度がないです。さらに製造過程で内部に気泡を含む場合もあって、そこが弱点となって折れてしまう。型に金型と砂型があり、砂型の方が金属を含みにくいと聞きますが、やっぱり空気を含む。

 次の違いは分解が出来ない。

 真剣は柄から茎を引き出せますが、模造刀は一体化になっており引き出せません。

 さらなる違いは……見た目、重量、手持ち感、振った際の感覚も全く違います。模造刀では本当の稽古にはならないと言う人もいますが、全くもってその通りです。居合刀を研ぎに出す間、少し模造刀を借りた時の感想。

・見た目:表面はテカッとして刃文も態とらしい。

・重量:模造刀は軽く、軽すぎる。

・手持ち:重量に加えバランスの位置取りが全く違う。

・抜刀:カタカタした感触。

・振り下ろす:軌道が微妙に横ぶれする。

・振り下ろし後:止めた瞬間、細かくビリビリ振動。

 というわけで、かなり違います。

 確か昔に模造刀と真剣を取り間違え、過失で人を殺めてしまった事件があったわけですが。どう考えてもですね、分からないはずがない……これは触れない方が良い話題ですか。

 しかしながら、模造刀とはいえど殺傷能力はあります。刃がないからと気を抜かず、扱いには充分に注意せねばなりません。

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