二十二振目 白鞘のこと2

 白鞘について再び思いつくまま散文的に。


1.日本刀は白鞘に入れて保管するのですが、登録証(銃砲刀剣類登録証)を一緒にしておかねばなりません。特に紛失すると面倒ですので、大半の人は白鞘に括り付けてます。

 で、よく使われるのが輪ゴムなのですが……これは止めましょう。

 経年劣化で輪ゴムが溶けて張り付き白鞘が台無し。代わりに、溶けないモビロンバンドを使用します。鞘尻辺りでモビロンバンドを三回ほど捻り登録証を固定したら、鞘の中程まで移動させておきます。


2.白鞘は刀袋に入れておきます。

 これは白鞘自体を守る(変色や傷など)だけではなく、温度や湿度の変化も緩和してくれます。特に運搬時は非常に重要で、最低限この刀袋に入れて運搬せねば警察のご厄介になる事でしょう。

 素材は綿や絹などなど様々ですが、なかなか袋が売ってない。売っていてもデザインが気に入らない……刀剣屋関係の中では小野小町のような名称のお店が一番デザインから素材まで揃ってます。

 ちなみに金襴緞子の袋は拵えを入れる場合ですので白鞘は入れません。


3.時々抜けなくなります。

 普通に抜けていた白鞘が急に抜けなくなり、びくともしない時があります。

 これは木の膨張によるもので、特に長距離を移動して運搬した後によく起きます。また、冬場の夜なども抜けずに困る場合があります。

 柄と鞘を持ち、渾身の力で両側に引っ張っても抜けないぐらいです。この場合は数日程度置きます。白鞘が周囲に馴染むと、するりと抜け出てきます。

 以前にこれを無理矢理抜いた人が居ました。

 僅かな隙間にマイナスドライバーを差し込み前後に揺らし、無理矢理動かそうとする。木がギシギシと鳴るものの、ビクともしない。さらに力を込め、かなり時間をかけ抜いた時には……白鞘は傷だらけ。ハバキにも傷。抜いた拍子にドライバーが当たって刀身にも傷。

 こんな事が無いように、抜けない時は新しい家に来て恥ずかしがっていると思って、ゆっくり待ってあげてください。


4.白鞘から音がする場合。

 日本刀というものは、鞘の中で浮いています。刀身が上下左右とも鞘のどこにも当たっていない状態となっているわけです。これは、ハバキが鯉口部分固定されるためです。

 しかしながら鞘の抜き差しで鯉口部分が摩耗していくと、刀身が白鞘内に当たるようになってしまう。持って動かせばカラカラ音がするので、直ぐに分かります。

 こうして音が鳴る時は鞘師に依頼して鯉口部分を直すか、鞘を割って内部を削ってもらったりして補修が必要です。費用は概ね5千円程度。なお状態が悪い場合は、白鞘を作り直します。費用は4万~8万円程度。

 出来れば個人で依頼したりせず、刀剣商経由で依頼しましょう(まあ鞘師とコンタクトを取る事自体が難しいですが)。刀剣商経由であれば店が責任を持ってくれて、出来の悪い白鞘が出来ても突っ返してくれます。

 鞘師さんに限らずね、職人さんに個人で頼むと……いろいろあるんですよね……。

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