おっさんやらかす?
ゴブリンと闘い勝利したおっさんは、自分の空虚庫の中身を探っていた。まぁ正確に言えば、目の前のウィンドウにある索引を確認しているだけなのだが。
「う~ん、やっぱり作ってなかったか?」
彼が探しているのは
さて、何故今更そんなアイテムを探しているかと言うと、おっさんは従魔士系列の職業に就いた事がなかったのだ。
「たっく。なんで俺もテイム出来ないのに下につけとか言ったんだよ。」
ぶつぶつと文句を垂れながら探し続けるが、残念ながら見つかったのは
「いや、待てよ?確かあいつが………」
おっさんの頭に浮かぶのは、自分と同じ
▲▼▲▼▲▼▲
『聞いてくれよジャン!ついに完成したんだよ!』
『どうした?今日は何作ったんだよ。まさかまた核撃魔法とか言わねぇよな?あれのせいで未だにフィールドの一部がドロドロに熔けてるんだが。』
『まさか!!僕がそんな万人に受けない魔法を何個も作るとは思わないで貰いたいね!』
『ほぅ?なら何を作ったんだ?』
『ふっふっふっ。聞いて驚くな。ついに僕は従魔術を完成させたのさ!』
『何!?それは本当か!?』
『そうさ!!これはあくまでも本物の従魔士の劣化版ではあるが、従魔士じゃなくても最低一体の従魔を得られる!更にこの魔法には従魔の強化も備わっていて、従魔士が使えばその力は足し算じゃ足りない位だ。』
『相も変わらず恐ろしいもんを作りやがる。因みに呪文は?』
『安心しなよ。特に難しい事は何もない。魔法とは言ったけど、どちらかと言えば魔力を使うだけで、魔法じゃないんだ。簡単に言えば、契約を結ぶ時に魔力でお互いを縛る。これだけさ。』
『あん?そりゃ
『いやいや、お互いを縛る、って所がミソなんだ。』
『ほぅ?つまり、此方からだけではなく、相手側からも結ばせる、と?だがそれだと従魔士より強い拘束力を持たねぇか?』
『噛み砕いて言えばそう言う事。ジャンの懸念も尤もだけど、一度でも魔力の繋がりが切れると、従魔術の効果も切れる。』
『微妙に使い勝手が悪い壁ってとこか?』
『あぁ。まぁ使っていれば従魔士に就けるかもしれないし、言う程使い勝手は悪くない筈さ。』
▲▼▲▼▲▼▲
「あいつの事だからちょっと不安だが、使ってみるか。」
「ギギ?」
「お、起きたか?さっきの事とか覚えてるか?」
「ギ。」コクン
「よし。そいじゃ宣言通り、お前さんは俺の配下となる。異存あるか?」
「ギギィ。」フルフル
「んじゃ俺の手を握って、手に魔力を纏わせてくれ。」
握手の形でお互いに魔力を纏わせると、それぞれの手から半透明な鎖が現れ、そして絡み付いていく。少しずつその数を増やしていく鎖はやがて、一本の太い鎖となった。
「良いな?………我、汝に名を授ける。汝の名はこれよりカイゼル。我が剣となり、我が眼前に立ち憚る全ての障害を退けよ!!」
別に、この宣誓には意味は無かった。ただ、このゴブリンを戦力として扱うのであれば、自分と打ち合えるその力を活かして前衛にしようと、そう考えただけであった。しかし相手は魔物。その生態は完全に解明する事は出来ず、あくまで似ている獣の生態に近いと考えられているだけなのだ。そもそもの話、狼に近い見た目のウルフ系の魔物の体ですら、どうなっているのか解っていない現状、魔物とは謎生物なのだ。閑話休題。
おっさんが宣誓した事により、ゴブリンの元王ことカイゼルは、まだ表面には顕れてはいないが、おっさんの願うがままに身体が変化している。言うなれば進化である。
「ん?カイゼル、おめぇ何かちょっと変わった……か?」
「ギィ?」
「………………いや、気のせいだな多分。」
カイゼルが、最下等のゴブリン種であるのは、案外短いのかもしれない。
おっさんが行く、異世界転生 Holly @15016
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。おっさんが行く、異世界転生の最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます